Quantcast
Channel: 【エロ漫画】BBAが堕ちているのは需要があまりないようだけど、J●だったらどうだろう? へのコメント
Viewing all 217 articles
Browse latest View live

アドレナった紳士 より

$
0
0

BBAに需要が無いなんて嘘だろ(震え)


\\\\ ٩( ˊᵕˋ )و //// より

$
0
0

長文淫語ほんとすこ。
長文淫語ってジャンルお願いします。

紳士な名無しさん より

$
0
0

水曜日のかんぱねら?聞いた後だと全部歌詞に見える

しぐなる より

$
0
0

たまにはこういうシンプルな同人誌もいいね!

紳士な名無しさん より

$
0
0

安産型でこれもBBA寄りだよな

紳士な名無しさん より

$
0
0

催眠掛ける過程も書いてくれれば尚

紳士な名無しさん より

未熟者 より

$
0
0

本当に良かった閉鎖されたんじゃなくて。もし閉鎖されてたら軽く鬱になってただろうから。


紳士な名無しさん より

$
0
0

催眠調教の過程も書いてたらすばらしかった

百合神 より

紳士な名無しさん より

神になったカモメ より

紳士な名無しさん より

$
0
0

鼻フックっていいよね
でも上唇がぐいってなってればもっとよかったな

やーー より

【エロ小説・SS】超上流階級のお嬢様しかいない女子高に転入したら想像以上のイジメが待ってた・・・4発目

$
0
0

次はアリスちゃんかなーと思ったら月小路編に突入。
そして今回はエロ多め。いいぞもっとやれ。
■所要時間20分 ■約12987文字

【陰湿】レズいじめ【ドロドロ】より


178: 女学院復讐SS4 1/11 2009/07/07(火) 06:38:29 ID:p/9bJ97q
 ――息が荒い。視界が揺らぐ。足が引き攣って、横腹が悲鳴をあげている。肺が焼けるよう
に熱い。全身の細胞が限界を訴えている。
「はっ、はぁ、はぁ、」
 携帯電話を握り締めて、金色の髪を翻し、それでも伊勢宮アリスは足を止めない。寮の階
段を駆け下りて、地下に唯一作られた生徒の個室、特別製のその扉の前に立つ。
「大丈夫……だいじょうぶ」
 脳裏には、信じられないほど弱りきった幸崎幸の姿が焼きついている。この扉を開けたときそ
こに何があるのか――考えたくない。
「大丈夫」
 根拠も自信もない、ただ自分を勇気づけるためだけの言葉を繰り返して、アリスはドアノブに
手をかけた。全寮中唯一完全防音のこの部屋は、扉が重く分厚い。
 鍵はかかっていなかった。
 一抹の不安を押し殺して、アリスは扉を開けた。何かが焦げるような異臭が鼻についたような
気がする。思わず目を細めて、それでも一気に扉を開く。
 その先にあったのは――
■■■
 ――扉が開く気配に、月小路妃美歌は鍵盤の上で躍らせていた指を止めた。
 今はまだ三限の途中、授業の真っ最中だ。こんなところに……月小路妃美歌の部屋に誰
か来ることはまずない。ましてや、ノックもなしに扉を開くなどと。
「誰?」
 そういえば鍵をかけていなかったかもしれない。部外者のいない寮内で危機管理意識が弱
まるのはよくあることだが、月小路の場合は普段来訪者が極端に少ないため、なおのこと鍵に
関する習慣がないのだ。
 重い鍵盤蓋を下ろして立ち上がり、扉へと視線を向ける。そこに、予想外の人物が大きめの
鞄を持って立っていた。
「……有瀬文月?」
 眉をしかめてその名をつぶやく。呼ばれた方は静かに頷いて、勝手に室内に踏み入ってき
た。後ろ手に防音扉を閉めると、くすりと微笑んでみせる。手にした鞄を下ろして「こんにちは」
と白々しく挨拶を投げた。
「演奏中お邪魔した?」
「うん、邪魔。なに?」
 自分でも乱暴な物言いだと思うが、これは仕方がないだろう。有瀬文月は入学する前からい
じめのターゲットに決まっていて、つい昨日、これまでのまだるっこしいやり方から、本来のわか
りやすい方法に切り替えたばかりだった。わざわざ自分をいじめている人間のところにやってく
るのだから、それなりの理由があるに決まっている。
 丈の長い薄手のワンピースを纏う月小路と違って、文月は制服を着ている。つまり、一度は
教室に行ったということだ。
「今、授業中じゃないの」
「月小路さんも授業には出ていないじゃない。それも六年間も」
 言われて、月小路は口をつぐんだ。
 文月の言葉は正しい。月小路妃美歌は、初等部三年の頃から教室に行くことをやめた。も
ともと休みがちだった授業を完全に放棄したことに、さしたる理由はない。強いていうなれば、
我慢の限界だったのだ。
「すごいわね、この部屋。私の部屋の倍くらいあるわ。それも独り部屋なのね」
 くるりと部屋を見渡して、文月がそんなことを言った。

179: 女学院復讐SS4 2/11 2009/07/07(火) 06:39:08 ID:p/9bJ97q
 礼染女学院の寮は二人一部屋が基本だが、当然一般的な学生寮よりも遥かに広く、各室
三部屋に分かれているから、実質は個室と変わりない。そんな礼染の学生寮にあって、なおこ
の部屋は異常だった。
 部屋自体の広さは言わずもがなだが、その広大なスペースをたった一人の生徒が使ってい
るのだから、この部屋もその生徒も『特別』というしかない。
「このくらい広くないと、これが置けない」
 鍵盤蓋の上に手を置いて、月小路はそうつぶやいた。黒塗りの表面を手で撫でながら、ゆ
っくりと扉へ向かう。その様子を見て、文月が小さくため息をついた。
「グランドピアノなんて、部屋に置くものじゃないでしょうに」
 部屋の中央に鎮座している黒塗りの巨大な楽器。これが、この部屋が地下にあって完全防
音な理由。そして、月小路妃美歌が礼染女学院で特別扱いを受ける理由だった。
 初等部一年ではじめたピアノだったが、遅いスタートを一瞬で巻き返すほどの才能を月小
路は持っていた。あちこちからひっきりなしに招聘の要求を受け、学院の言うままそれに従っ
た三年間。月小路はその三年間で世の中に対する諦観を得、学院は広大なコネクションと多
大な利益を得た。
 一年ほど前までは特に強い要請があったものに限り演奏に出ていたが、今では全て断って
いる。それでも学院が彼女を特別扱いするのは、これまでの功績があまりに大きいからだ。
「なんてメーカーのピアノなの。有名なんでしょ?」
「ベヒシュタイン」
 月小路は淡々と答えを口にしたが、文月は小さく首を傾げるだけで何も言わない。どうやら
知らないらしかった。月小路が、無学な、と不満げに形のいい唇を尖らせる。
「ストディラヴァリとかじゃないんだ」
「ストラディヴァリだろ。ストラドはヴァイオリン」
「ああ、そうか」
 長い黒髪を手で梳いて、月小路は小さく吐息をついた。馬鹿の相手をするのは嫌いだった。
授業に出なくなったのもそのせいだ。よく三年もあんな馬鹿の巣窟に足しげく通ったものだと
思う。
 月小路にとって、世界は馬鹿の集合体だった。自分ひとりだけが特別で、他はみな虫けら
のようなものだ。脚をもいで笑っても、踏み潰して笑っても、巣ごと水浸しにして笑っても、誰も
文句など言わない。
 あるいは学院を出てもっと広い世界を知ればそうではないのかもしれないと、昔はそう考えて
いた。だがそんな幻想も、鍵盤の上を舞った三年間のうちに全て枯れ果ててしまった。
 世界には馬鹿しかいない。実に退屈だ。
「で、何の用」
 心にざらつくものを感じながら、吐き捨てるように月小路はそう問うた。このざらつきを癒す術
はひとつしかない。馬鹿どもを足蹴にして、指をさして笑うのだ。
「想像つかない?」
「つかない。……有瀬は本当に余裕だな。昨日の今日で、ここまでの奴は初めてだ」
 ほんの少し、声音に感嘆の響きが混ざった。これまでターゲットにされた生徒は、大半が翌
日の授業を休んだ。その場合月小路たちの行動は決まっている。自室で独り震えているとこ
ろを『お見舞い』に行って、休む方が辛いことを体に刻み込むのだ。ところが文月は、授業こ
そサボっているかもしれないが、飄々と月小路の前に現れた。
 目的がいまひとつわからない。まさか、復讐というわけでもあるまいに。
「……」
 当然のように否定して、それから月小路はかすかに眉根を寄せた。文月が口元に浮かべる
薄笑い。湧き上がる感情を押し込めようとして失敗したような、悪意がにじみ出るその表情を
月小路はよく知っている。幸崎幸が、獲物を前にした時あんな風に笑うのだ。

180: 女学院復讐SS4 3/11 2009/07/07(火) 06:39:54 ID:p/9bJ97q
 復讐――そんなはずはない、などと言えるだろうか。
 知らず、月小路は足を後ろに引いていた。追って、文月が歩を刻む。
「何しに来た」
「だから、想像つくでしょう?」
 喉の鳴る音がした。ざわざわと全身の毛がわなないている。幸崎に連絡を取ろうと指先が携
帯電話を探し、それが隣の寝室にあることを思い出す。ピアノを弾く時はいつも、電話を遠ざ
けるのだ。
「何かしてみろ。明日から地獄を見るぞ」
「地獄なら、今さっき見てきたわよ。あいにく、私は上から見下ろす立場だったけど」
「……っ」
 その言葉の意味を瞬時に悟って、月小路は言葉を失った。
 震える足が更に後ろに下がるのと、分厚い防音扉がわずかに動くのが同時だった。文月は
眉をひそめて、月小路は助けを期待して目を向ける。ゆっくりと開かれた扉の向こうに、
「独りで遊ぶなんてひどいじゃないか」
「あたしも混ぜてくださいよー」
 柚子澤と逢坂が、にやにやと笑いながら立っていた。
「あんたら……!」
 かすれた声で月小路が呻く。幸崎幸と違い、月小路は今までいじめて来た相手の顔はひと
通り覚えている。そこに立つ二人のことも、はっきりと思い出せた。
「なによ、こんなところにいるって、よくわかったわね」
「ふふふー、教室とは逆方向に向かっていったのを見て、後をつけたんですよー」
「んで、私が呼ばれたわけ。香堂はとりあえずもういいってさ。あいつの時は月小路いなかった
らしいよ」
「ああ、そうなの。それじゃあ、三人でやりましょうか」
「とりあえず、どうする?」
「カメラもってきましたよー」
 三人は笑顔で凌辱の打ち合わせをはじめた。足が震える。いくら広かろうが学生寮の一室
だ、当然入り口はひとつしかない。三人相手に逃げ延びる方法など、月小路にあるわけがな
い。電話まで辿り着ければ――いや、それで何がどうなるというのか。
「とりあえず押さえつけて、幸崎さんがどんな地獄にいるのかを見せてあげましょうか」
 微笑んで、文月がそんなことを言った。
「よし」
 応えて、柚子澤が大股に歩み寄る。逃れるように後ずさった体が、すぐにグランドピアノにぶ
つかった。戸惑っている間に距離をつめられ、気がついたときには腕を掴まれていた。
「は、放せ」
 柚子澤は何も答えなかった。ただ思い切り腕を引いた。ぐるりと視界が回って、全身に衝撃
が走る。床に胸が叩きつけられて、呼吸が一瞬止まる。
 追い討ちをかけるように柚子澤が馬乗りになって、綺麗な長い黒髪を掴みあげた。毛髪ごと
頭皮を引っ張られて、無理矢理に顔をあげさせられる。噛み締めた歯の奥から、苦悶の声が
漏れた。
「にわ子、カメラ」
「はいはーい」
 小走りに近寄った逢坂が、カード型のカメラを操作する。背面に取り付けられた液晶に、ほ
んの数十分前の女子トイレが映し出される。それを、逢坂は笑顔で獲物の前に突き出した。
「はい、ちゃんと見てくださいねー」
「幸……!」
 そこに描き出されたのは、なるほど地獄かと思うような光景だった。

181: 女学院復讐SS4 4/11 2009/07/07(火) 06:40:33 ID:p/9bJ97q
 ホースを肛門に突きこまれた幸崎が、泣きながら許しを請うている。そこにいるのが彼女でな
ければ、今まで幾度となく見てきた景色だ。これを非道というのなら、自分もまた非道である。
そうと知りながら、月小路は「ひどい」と口にせずにはいられなかった。
「あんたら……なんだって今更こんなことを!」
「お前も同じようなこと言うんだね。知らないと思ってるの?」
 吐き捨てるような柚子澤の言葉にも、月小路は眉をひそめることしか出来ない。終わった相
手には干渉しない。それがこのいじめのルールだ。一年以上前のターゲットが今になって牙を
剥くなど、何かあったとしか思えない。誰かが、何かを仕組んだのだ。
 誰か、など――有瀬文月に違いなかった。
 文月は扉のそばから動かないまま、酷薄な笑みを浮かべている。睥睨するように押さえ込ま
れた月小路を眺めて、
「地獄、ちゃんと見た?」
 と、愉悦を滲ませた声音で尋ねた。
「……」
「答えてくれないのね。幸崎さんとは違って無口だから、寂しいわ」
 言いながら、足もとの鞄を持って、文月はゆっくりと歩き出した。その一歩一歩がカウトダウン。
眼前の小さな画面で展開される悪夢が、今度は自分の身に降りかかるのだ。
「は、放せ……」
 がくがくと手が震えている。無様だと思う余裕もなかった。
 不意に後頭部を引っ張っていた圧力が消えて、仰け反っていた首が前に倒れる。背後を見
返ると、背に乗っている柚子澤がワンピースの薄布を両手で掴んでいた。
「破けるかな?」
「あ、あ、ちょっと待ってください」
 逢坂があわててカメラを撮影モードに切り替える。それを確認して、柚子澤が両手に思い切
り力をこめた。生地がきしみをあげて伸ばされる。だが、破けるまではいかない。
「んぎ……破けないな」
「さすが、安物じゃないですねー」
 縫い目を探して同じように引いてみるものの、布はしぶとく伸びるばかりで裂くことは出来な
い。柚子澤が小さく舌を打った。
 一級品の丈夫さに感謝しながらも、月小路はその舌打ちに怯えずにはいられない。破くな
んて面倒な手段を選ばなければ、彼女を裸にすることなんて簡単なのだ。ましてや、
「柚子澤さん、はいこれ」
 近づいてきた文月が、鞄の中から笑顔で裁断鋏なんて取り出して見せたのだから。
 文房具とはとても言えない、無骨で大きな布を断ち切るためのそれを、文月が柚子澤に渡
す。絶望的な光景だった。
「準備がいいね」
「もちろん、色々と用意してきたわよ」
 震える月小路を見下ろして、文月は楽しそうにそう言った。
 新品らしく鈍い銀色に輝くブレードが視界の端を横切り、そのまま死角に潜りかんだかと思う
と、首筋に冷たい感触があてられた。
「ひっ……」
「んん、このままブッ刺したら死んじゃうかな」
「そのまま放置したら死ぬでしょうね」
「血がいっぱい出ますねー。掃除が大変ですよ」
 歯の打ち合う音が口の中で響きだす。こいつらは一体何を言っているのだろう。月小路も幸
崎も、そこまでのことはしていない。後に残るような傷をつけたことはないはずだ。
「そんなに震えない。本当に刺さっちゃうよ」

182: 女学院復讐SS4 5/11 2009/07/07(火) 06:43:08 ID:p/9bJ97q
 そんな標的の様子を笑って、柚子澤はゆっくりと手を動かした。刃が肌の上を滑る感覚に月
小路が身を震わせる。襟元に到達すると、もぐりこませた刃をかみ合わせる。シャキン、という
音を追うように、刃を中途半端に開いたまま、白い肌は傷つけないよう手を滑らせた。
 上質な布地は裂かれる時ですら美しい音を立てた。
「……っ」
 冷房で下げられた室温が柔肌を直撃する感覚に、月小路は身を震わせた。背の中央辺り
までを一気に切り開かれ、剥き出しになった肩甲骨を誰かの掌が撫で回す。震える首を後ろ
に向けると、肩越しの狭い視界の中で、柚子澤が立ち上がった。頭のどこかでチャンスだ、と
声がしたが、立ち上がる気力は恐怖ですりつぶされていた。下手なことをすれば、本当に刺さ
れるかもしれない。
 震える月小路をまたいで逆向きになった柚子澤が、裂け目に刃をあてて、残りの布も引き裂
いていく。ノースリーブのワンピースは肩紐で吊る形になっているため、本来は肩紐さえ切って
しまえば裸に出来る。だというのに、柚子澤はわざわざ腹のあたりから横に刃を入れはじめた。
「ま、まだ切るの……!」
「いやあ、結構いい音がするからさ」
 銀光が二度三度と閃いてワンピースを裁断していく。手術着のように背中がパックリと開いた
ワンピースは、更にズタズタに切り裂かれた。腰から下はほとんど丸見えで、丸く大きな尻が恐
怖で震えているのがよく見える。
「くろい!」
「えろいな」
 露わになった桃尻を飾るのは、シースルーの黒い下着だ。外縁を飾るレース編みの装飾が
鮮やかで美しい、見るだけで高価とわかる一品だった。女子高生のものにしてはいささかセク
シーに過ぎるが、それもスタイルのいい月小路にはよく似合っている。
「こんなのつけて、誰を誘惑するんだか」
 鋭い鋏の切っ先が、股布を軽く突く。敏感な部分に鋭角の刺激を受けて、月小路がわずか
に背を浮かせた。
「柚子澤さん、逆にしよう」
「ん、そうだな」
 鋏を片手でもてあそびながら、柚子澤が月小路の細い腕を引っ張り上げる。力なく起き上
がった体が、すぐまた仰向けに引き倒された。
「ひぅ……」
 正面から鋏を見るのは、死角から切り裂かれるよりも恐ろしかった。圧倒的な脅威に晒され
ているという事実が心臓を掴みあげて握りつぶす。澄んだ音を立てて空気を切り裂く柚子澤
が、まるで悪魔のようだ。
 悪鬼の刃は背面と同じように高級品のワンピースを乱雑に切り裂いた。ジグザグのマイクロミ
ニに調節されて、更に腹のあたりまでスリットを入れられる。とてもではないが、こんな格好で外
には出られない。
「ううん、こんなもんかな?」
「いいセンスね。とても扇情的だわ」
 相変わらず、三人はくすくすと笑っている。柔らかで軽やかなはずの笑い声が、まるで獰猛
な獣の唸り声のように聞こえた。かつて自分たちが虐待した少女たちも、こんな気持ちを味わ
ったのだろうか。
「も、もう、もう放して……」
「はあ? もうって、まだ何もしてないって」
「……」
 呆れるように言って、鋏で空を切る。昔に見た、巨大な鋏を持った男から逃げるテレビゲー
ムを思い出した。いくらボタンを連打しても、ここからは逃げられない。

183: 女学院復讐SS4 6/11 2009/07/07(火) 06:43:57 ID:p/9bJ97q
「かわいい下着だけど、これ高いの?」
「……」
 唇を噛んで、月小路は震える眼差しを柚子澤に向けた。睨むなどという上等なものではない。
長い睫が許しを懇願するように震えて、まなじりにはかすかに涙すら見えた。
「月小路さん、かわいい」
 うっとりと眼を潤ませて、熱を孕む吐息とともに文月がそうつぶやいた。
「どれ……」
 巨大な刃が繊細なレースを挟み込む。眼前に迫った決定的な瞬間から逃げるように、月小
路はかすかに身を捩ったが、冷たい鉄の感触が腹を撫でると、それだけで動けなくなってしま
う。肺の奥が痙攣しているようで、呼吸がうまくできない。悲鳴すら、あげられなかった。
 シャキン、と涼やかな音色がショーツの右端を切断した。
 月小路が震えるのにも構わず、逆側も切り裂く。刃の先で布をつまんで、ゆっくりと、股布だ
けでつながるショーツの成れの果てをはがしていく。
「ほら、抵抗しないの? 見えちゃうよ?」
 また、柚子澤が笑う。いつの間にか足もとに回ってきた逢坂が、笑顔でカメラを構えている。
抵抗などできるはずもない。せめてもの矜持にと眼差しを強くするも、そんなささやかな抵抗を
笑うように、ショーツは完全にめくりあげられた。冷たい空気が下腹部を撫でる。
 月小路の秘部は体と同じように成熟しきっていた。閉じた口からは艶かしいビラビラが身を
寄せ合いながら顔を覗かせ、やや薄めの陰毛がデルタ状に陰唇上部を覆っている。薄茶に
色素の沈殿したそこは、グロテスクでありながら、同時に淫靡で官能的な美しさを誇っていた。
「見えちゃった」
「やっぱりグロいですねー。怪物になって夢にでてきそうですよー」
「にわ子言い過ぎ」
「……っ」
 泣くものか、と月小路は歯を食いしばった。ここで泣いて喚いて助けを求めても、きっとこの
三人は笑うばかりで返事もしないに違いない。ますます惨めになるだけで、それでは月小路が
虐げてきた連中と同じだ。
 月小路には誇りがある。自分が選ばれたものであるという誇りだ。それさえ失わなければ、ど
んな辱めを受けても屈したことにはならない。
 この五指が鍵盤を叩けば、それだけで彼女は特別になれるのだから。
「で、どうする?」
 首を捻って、柚子澤が文月に問いかけた。その間にも鋏の先で、露わになった陰門をつつ
いている。
「私、幸崎さんのことで反省があるのよ。ちょっと苦しい思いをさせすぎたかもしれないって」
 文月が答えると、柚子澤が不審そうに眉をひそめた。逢坂も首を傾げて文月を見ている。
「むしろ、全然足りないんじゃないの? もっとやっちゃうべきだったんだよ」
 つまらなそうに言って、柚子澤は鋏の切っ先を陰門の奥にもぐりこませた。ビクリと月小路の
背が跳ねるのを見て、楽しそうに笑う。
「そう? まあ、それでもいいんだけど――今回はね、苦しいばかりじゃなくて、少しは気持ちよ
くしてあげようと思うのよね」
「……ああ、なるほど」
 ぐりぐりと刃を押し込んでいくと、痙攣するように月小路が体を跳ねさせる。もちろん、快感な
ど微塵も得ていない。純粋に恐怖と痛覚で震えているのだ。
「だからまずはね……」
 それでも、月小路は必死に耐えていた。歯を食いしばって三人を睨みつけ、床に指を突き
たてて耐えていた。股間に冷たい鉄の感触を感じながら、時折走る鋭い痛みにも声をこらえて
いた。

184: 女学院復讐SS4 7/11 2009/07/07(火) 06:44:32 ID:p/9bJ97q
 そんな、彼女の精一杯の抵抗を笑って、文月が一本の剃刀を取り出した。裁断鋏よりも遥
かに小さいT字型のそれを、見せ付けるように左右に振る。
「いじりやすいように、これで剃りましょうか」
「……っ」
 月小路も、いじめのひとつとして剃毛を選んだことはある。相手が震えるものだから巧く剃れ
なかったのだが、それでも終わった後の間の抜けた陰部には笑い声を抑えられなかった。
「お、いいね」
 鋏と剃刀を交換して、柚子澤が笑う。鞄の中からシェービングクリームを出して泡立てながら、
文月が笑う。二人を見て位置取りを調節し、カメラを構え直しつつ、逢坂が笑う。
 女の子三人が笑っているだけなのに、まるで地獄の光景だ。
「肌が傷つくといけないからね……」
 泡立てたクリームが陰唇上部、陰毛の茂る下腹部から、股を覆って脚の付け根までを白く
化粧する。掌の温度が移ったのか、生ぬるいその温もりは生物を連想させた。
「じゃあ剃るよ」
 冷たい刃がふっくらと膨らんだ土手に添えられる。なだらかな丘を優しく撫でるように、剃刀
が滑り降りた。
 しゃりっ、と剃毛独特の音が響いた。
 自分の最も弱い部分を刃物が通り過ぎる感覚に、月小路が身を震わせる。しゃっ、しゃりっ、
と繰り返し音を立てながら、泡と一緒に縮れた陰毛がそぎ落とされていった。
「これ、なんか興奮するね」
 言葉尻にほのかな熱を潜ませて、柚子澤がそうつぶやいた。同年代の女の子を好きにいじ
りまわしている、その生殺与奪を握っているという事実が、彼女を昂ぶらせているのだ。手に力
がこもりすぎて、あわてて剃刀を一度離す。さすがに、直接傷をつけるつもりはない。
「気をつけてね」
 苦笑まじりに文月にたしなめられて、柚子澤はゆっくりと剃刀を添えなおした。既に半ばの毛
は剃られて、白い泡に埋もれて床に沈んでいる。つるりとした肌色の土手はかすかに青い剃り
跡が残るだけで、凌辱者たちに無毛の丘を晒していた。
 複雑な形状の肉襞や包皮をかぶったままのクリトリスを傷つけないよう、慎重に、丁寧に、赤
子を労わるような繊細さで、残りの毛を落としていく。童女のような――と評するには成熟しす
ぎた、それゆえに無毛の淫猥さが際立つ秘所が、そうして作り上げられていく。
「……」
 鉄が肌を滑る冷たい感覚だけで、月小路の頭にその光景が浮かび上がった。自分の目で
見る勇気はない。歯を食いしばり、目を固く閉じて、鍵盤の上でならば優雅に舞える十本の
指を、床に強く突き立てる。
 緩慢に進行する処刑の時間は、やがて終わりを迎えた。
 剃刀が離れ、小さな吐息が聞こえる。柚子澤が立ち上がったらしい気配の後に、湿った布
の感触が秘部を優しくぬぐった。予想外の感覚に背を震わせて、月小路はおそるおそる目を
開いた。
 開かれた股の間にいるのは、柚子澤ではなく文月だった。どうやらウェットティッシュでクリー
ムの残りを拭いているらしい。まるでおもらしの後始末をされているような光景に、知らず体が
羞恥で燃える。
「終わったわよ。ほら、自分で見て」
「……」
 躊躇していると、背後に回った柚子澤が無理矢理に体を起こしてきた。触れられているのが
嫌で、仕方なしに半身を起こす。震える視界に、それが飛び込んできた。
 丁寧に毛を剃られたそこは、毎日浴場で見るのとは別物のようだった。いっそ痛々しく見え
る剃り残しが、ことさら淫らに映った。

185: 女学院復讐SS4 8/11 2009/07/07(火) 06:45:06 ID:p/9bJ97q
「かわいくなったわね」
 そう言って、文月が無毛の秘部に指を這わせた。外縁をなぞるように円を描き、それから中
央のスリットを撫で上げる。顔を覗かせた肉襞を指先でつまんで、くい、と引っ張った。
「んぅ……っ」
 不覚にも漏れ出た声に、三人が小さな笑い声をあげた。屈辱と恥辱で、心臓から火が出た
ように体が熱くなる。
「敏感なのかしら……こっちはどう? 普段いじってる?」
 言って、文月の細い指が、陰門から更に上に向かい、皮をかぶって隠れている肉芽をつま
みあげた。
「……っ」
 今度は、声を抑えきった。唇を噛んでこらえる月小路の表情に何かを刺激されたか、文月が
くすりと笑って、つまんだ豆をきゅっ、とひねる。女性の快楽が集束する小さな淫芽は、それだ
けで凄まじい電流を月小路の全身に注ぎ込んだ。
「――――っ! あ、か……っ」
 こらえた、のではない。声にならなかったのだ。肺の中身を全て吐き出すような乱暴な呼吸を
繰り返す月小路を見て、文月はまた微笑んだ。強すぎた愛撫を詫びるように、指の腹で優しく
肉豆をころがして、緩やかに確実な刺激を送る。
 身を固くして備えていた月小路をほぐすように、慈しみを錯覚するほどの丁寧さで、文月は
クリトリスへの愛撫を続けた。
「ふ……ん、は……」
 やがて、月小路の口元から吐息まじりの声が漏れ始める。
 こらえようにも、先の一撃が体内で荒れ狂って、声を抑えることが出来ない。どこで覚えたの
か、巧みな指使いで強引に引きずり出される快感に、月小路は背を震わせた。
「感じてる?」
「かんじてますねー」
 柚子澤と逢坂が笑い声をあげた。嘲笑だと知っていながら、屈辱以上に快感の炎が燃えて
いる。月小路は自慰のさいにクリトリスをいじる。だが文月の愛撫は彼女のそれに比べてあまり
にも穏やかで優しく、緩慢すぎてもどかしい。そしてそれ故に、くすぶる炎は際限を知らないよ
うに大きく育っていく。
 下腹部を中心として、同心円を描きながら快楽の波が少しずつ全身を侵していく。彼女が
常とするのは体をまるごと攫うような大波を起こす自慰だ。こんな、爪先から一滴ずつ水を注
がれるような快楽は知らない。
「ふ、ふぅ、は、はぁ……っ」
 膨らみすぎた風船が体の中で出口を求めている。破裂の瞬間が恐ろしくもあり、待ち遠しく
もあった。それでも、文月の緩やかな愛撫では、その時はまだ先だろう。
 月小路は朦朧とする頭で、そう考えた。そして彼女がそう考えることを、文月は知っていた。

 ぢゅるんっ!

 ――という音を幻聴する。
「いひぁあああ!?」
 突如駆け上った激感に、月小路は全身を仰け反らせて悲鳴をあげた。膨らみきった風船が
限界以上の空気を送り込まれてパンパンに腫れ上がる。緩やかだったはずの指先が、まるで
数瞬前の自身を忘れたかのように、一気に陰核包皮を剥いたのだ。
「ひぅ、ひっ、ひぁっ」
「あは、ぴくぴくケイレンしてますよー」
「気持ち悪いわね」

186: 女学院復讐SS4 9/11 2009/07/07(火) 06:45:45 ID:p/9bJ97q
 笑いながら言って、文月は剥き出しになった陰核を指先でそっと包み込んだ。涙目になった
月小路が、震えながらその光景を見ている。これから何をされるのか、彼女にもわかったのだ。
「いくわよ、月小路さん。五、四、」
 カウントを聞きながら、月小路は息を吐いた。襲い来る激烈をこらえようと、全身の力を抜い
て、それから身構えるつもりなのだ。
「三、」
 指先に、わずかに力がこもりはじめた。息を吐ききった月小路が、小さく口を開いた、
「――えいっ!」
 その瞬間を狙って、添えられた指先が思い切り陰核を押し潰した。
「んんぁああああああ!」
 あと二秒あったはずだ――そんな抗議は形にならない。迸った衝撃は淫芽から全身を猛烈
な速度で走り抜けて、腫れ上がった風船を一撃で破裂させた。その内にたまっていた快楽が
一斉に溢れ出し、血管を逆流して心臓を犯す。
「あ、っ、は、ふっ、ふぁっ、あうぁっ」
 びくびくと震える月小路に笑いかけて、文月が指先を左右にひねった。新たに送り込まれた
刺激が体内で混じりあって、燃え上がる炎を更に猛らせる。
「んっ、あぅっ……ひぁっ、あ、あっ、あっ、ああぁあああああ―――――!」
 ねじ切られるかと思うほど強く捻りあげられて、月小路はえび反りになって悲鳴をあげた。そ
れが快感なのか、それとも単なる苦痛なのかわからない。だが猛りきった炎がその瞬間に全身
を突き抜けていったことはわかった。
 浮き上がった背が床につくと同時に文月の手がゆっくりと離れて、熱い吐息が三方から漏れ
る。深く重く、淫らな熱を孕んだ吐息を繰り返して、月小路は全身を震わせながら歪んだ視界
に笑う文月を見た。
「かわいいわよ、月小路さん」
 微笑に、罪悪感などかけらもなかった。それどころか、優越感や達成感すら見られない。た
だ、嗜虐の悦びだけが月小路を笑っていた。
「いった?」
「イきましたね」
「……」
 こんなに熱く荒い吐息を繰り返していては、否定もできなかった。悔しくはあったが、月小路
は唇を噛んで無様な言い訳をこらえた。
「逢坂さん、ここアップにして。ほら、こんなに膨らんでる」
「わ、すごいですねー。クリトリスって、こんな大きくなるんですね」
「あ、あ、私も見たい」
 騒ぎ出す三人の声を聞くまいとするが、全身が弛緩して耳を塞ぐことすらできなかった。さん
ざんに嬲られて腫れ上がり、敏感になった陰核に誰かの指がまた触れる。外側を撫でるような
その触れ方に違和感を覚えて、月小路はそろそろと視線を向けた。どうやら、文月は淫芽の
皮だけをつまんで引っ張っているようだ。
「わかる? 月小路さん。これが陰核包皮ね」
 言われても、横たわる月小路には見えない。文月は微笑んで、逆の手に持ったそれを掲げ
てみせた。
「それで、これが瞬間接着剤」
 一瞬、思考が停止した。
 瞬間接着剤。確かにそれは、有名な接着剤のチューブだった。速乾性で強力な、剥離剤
がなければまず剥がせない代物だ。
「え?」
 意味がわからなかった。ここで接着剤を取り出して、どうしようというのだろう。

187: 女学院復讐SS4 10/11 2009/07/07(火) 06:46:37 ID:p/9bJ97q
 不可解そうにしているのは他の二人も同じだった。三人全員に説明するように、文月がもう
一度繰り返す。
「これが、陰核包皮。これが、瞬間接着剤。わかる?」
 そのふたつがどうつながるのか。理解に数秒を要して、
「……え?」
 やっと、月小路はその企みを悟った。
「あっ、あー、なるほど、そういうことですかー」
「なに、どういうこと?」
「こういうことよ」
 チューブのキャップを外すと、キャップの内側から伸びるハケに接着剤をつける。文月はそれ
を、ゆっくりと包皮に近づけた。
「待って! 待って、待って! 嘘だろ、何考えてるんだよ!」
「今、月小路さんが考えていることで、多分あってるわよ」
「な、なに言って――」
 細いハケの感触が肌を撫でる。ぬめる粘液が下腹部に塗られ、同様に包皮の側にも少量
の接着剤が塗られた。
「あ、なるほど」
 柚子澤がやっと事態を理解して頷いた。それを見て、文月は楽しそうに笑って包皮を肌に
押し付けた。指に接着剤がつかないように、両者を密着させてこすりつける。塗られた接着剤
がわずかに溢れて、速乾性の名に恥じない速度で固まる。
「あ、あ……」
 体感的には、何が変わったわけでもない。だがそれは今だけの話だ。文月はあろうことか、
包皮と肌を接着してしまったのである。
「これで、ずっとかわいいクリトリスが剥き出しのままよ。よかったわね」
 文月は笑って、指先で淫芽を弾いた。快感よりは痛みの方が強い刺激に、月小路が肩を
跳ねさせる。
「これ、普段の生活どのくらい辛いんだろう」
「さすがにやられたことないから、わかりませんねー」
「歩くだけで服が擦れて、きっと気持ちよくなれるわよ。あとはローターあたりと組み合わせてあ
げれば、面白いことになるんじゃないかしら」
 全身の血管から血の引く音を聞いた気がした。幸崎ですら、ここまでのことはしなかった。考
えたこともないに違いない。一生に残るような傷をつけないことは、彼女たちのルールのひとつ
でもあったのだ。
「う、あ……」
 震える月小路を見て、文月はまた微笑んだ。立ち上がり、その顔に手を触れて、まなじりに
かすかに溜まる涙を掬い取る。そのまま、優しく囁いた。
「大丈夫よ、月小路さん。皮膚についた接着剤ってね、意外と簡単に取れるのよ。毎日お風
呂に入って何日かしてしまえば、すぐに剥がれちゃうわ」
「……」
 本当かどうかはわからない。だが、かすかに安堵したのは確かだった。仮に嘘だったとしても、
世の中にはちゃんと剥離剤というものがあるのだ。よく考えれば、一生このままになるわけでは
ない。
「だから」
 安心からついた吐息を飲み込んで、毒にかえて吐き出すように、
「剥がれたら、またつけてあげるわね」
 耳元で、文月がそうつぶやいた。
「あ……」
 目の前が暗くなる。視界が、本当に一瞬でゼロになった。

188: 女学院復讐SS4 11/11 2009/07/07(火) 06:47:02 ID:p/9bJ97q
 この女はおかしい。気が狂っている。自分たちも相当のものだと思っていたが、それを遥かに
凌駕する怪物が、目の前に立っていた。
 怖い――この時、月小路は心底そう思った。
 この女が、怖い。手を出すべきではなかった。こんな怪物に、関わるべきではなかったのだ。
 それは、つい先ほど幸崎幸が抱いたのと、同じ恐怖だった。
「ほら、立って、月小路さん。まだまだ、やりたいことはいっぱいあるんだから」
「あ、う……」
 脇をかかえて立たされる。そのまま強引に歩かされて、ピアノの前に座らせられた。柚子澤と
逢坂はこれからのプランを何も聞かされていないのか、不思議そうな表情に幾ばくかの期待を
こめて、こちらを見ている。
「も、もう、いやだ……」
 心が折れかけている。月小路はそれを自覚したが、奮い立たせるほどの気力はもうない。そ
んな彼女を見て、文月はにっこりと笑った。
「大丈夫よ。三限が終わったら、これもおしまいだから」
「……」
「本当、本当。昼休みまでに全員終わらせたいのよ」
「ハードスケジュールだな」
「先輩、今日は授業受ける気ゼロですね」
 その言葉が真実にせよ嘘にせよ、月小路には今を耐えることしかできない。震える視界を壁
にかけられた時計に向ける。三限はまだ半ば。この地獄が終わるまで、三十分ほども残されて
いる。その間に何をするつもりなのだろう。
 月小路は、時計からピアノに視線をうつした。最大の誇りであるこの楽器が、唯一のよりどこ
ろであることに、気づいてしまったのだ。
 ピアノの前に座らせて、何を、するつもりなのだろう。
「さあ、演奏会をはじめましょう」
 震える月小路の肩に手を置いて、文月はそう、新たな凌辱の開始を宣言した。

189: 名無しさん@ピンキー 2009/07/07(火) 06:47:25 ID:p/9bJ97q
以上です。
随分遅くなって申し訳ない。んじゃつづき書いてくる。

195: 名無しさん@ピンキー 2009/07/09(木) 00:48:14 ID:KWRI2H3P
>>189
凄いの一言。
どうしたらそんなに、繊細な表現ができるのか……
続きを激しく希望しながら待っています。

190: 名無しさん@ピンキー 2009/07/07(火) 08:23:30 ID:E/lvqzvN
朝からいいものを見た。

>「剥がれたら、またつけてあげるわね」
すばらしい一言だw

191: 名無しさん@ピンキー 2009/07/07(火) 17:47:52 ID:OehdZ4bd
神降臨大感謝大興奮GJGJ
とにもかくにも攻め責めのバリエーションが興奮のツボ押さえてて凄い。
続き大いに期待して待ってます。

192: 名無しさん@ピンキー 2009/07/07(火) 22:37:14 ID:06R9N7Uq
上手く言葉が見つからないが、こいつは大作だ。
このスレを覗いて良かった。
GJ!!

196: 名無しさん@ピンキー 2009/07/10(金) 00:36:41 ID:HzMldFji
凄すぎる・・・
続き期待してます


【エロ画像30枚】乳首にピアスを付けている、おしゃれな女の子の画像貼っておきますねw 8発目

$
0
0

再び乳首ピアスの画像を。
やっぱりピアス画像は粒揃いで集め甲斐あるね。

■お知らせ■
スマホの記事見ようとするとトップに戻っちゃう現象を修正。
多分直ってると思うけどまだ不具合あったら教えてー

▼ 1
1枚目 ▼ 2
2枚目 ▼ 3
3枚目 ▼ 4
4枚目 ▼ 5
5枚目 ▼ 6
6枚目 ▼ 7
7枚目 ▼ 8
8枚目 ▼ 9
9枚目 ▼ 10
10枚目 ▼ 11
11枚目 ▼ 12
12枚目 ▼ 13
13枚目 ▼ 14
14枚目 ▼ 15
15枚目 ▼ 16
16枚目 ▼ 17
17枚目 ▼ 18
18枚目 ▼ 19
19枚目 ▼ 20
20枚目 ▼ 21
21枚目 ▼ 22
22枚目 ▼ 23
23枚目 ▼ 24
24枚目 ▼ 25
25枚目 ▼ 26
26枚目 ▼ 27
27枚目 ▼ 28
28枚目 ▼ 29
29枚目 ▼ 30
30枚目

【女装援交エロ同人誌】クラスで一緒だった憧れの女の子は女装少年だった・・・それはまだいいけどなんで僕まで女装?

$
0
0

援交マエストロ「ほぉ・・・この俺に声を掛けてくるとはこいつの審美眼もたいしたものだ・・・」
か・・・かっこいい・・・
という事で女装少年物をホイッ!

▼ 1
1枚目 ▼ 2
2枚目 ▼ 3
3枚目 ▼ 4
4枚目 ▼ 5
5枚目 ▼ 6
6枚目 ▼ 7
7枚目 ▼ 8
8枚目 ▼ 9
9枚目 ▼ 10
10枚目 ▼ 11
11枚目 ▼ 12
12枚目 ▼ 13
13枚目 ▼ 14
14枚目 ▼ 15
15枚目 ▼ 16
16枚目 ▼ 17
17枚目 ▼ 18
18枚目 ▼ 19
19枚目 ▼ 20
20枚目 ▼ 21
21枚目 ▼ 22
22枚目 ▼ 23
23枚目 ▼ 24
24枚目 ▼ 25
25枚目 ▼ 26
26枚目 ▼ 27
27枚目 ▼ 28
28枚目 ▼ 29
29枚目 ▼ 30
30枚目 ▼ 31
31枚目 ▼ 32
32枚目 ▼ 33
33枚目 ▼ 34
34枚目 ▼ 35
35枚目 ▼ 36
36枚目

【女装援交エロ同人誌】クラスで一緒だった憧れの女の子は女装少年だった・・・それはまだいいけどなんで僕まで女装?2発目

$
0
0

10年後の事なんか考えたくもない・・・
悩み多き10代はやっぱり悶々とするのねw
アラサーになっちゃうと10年後の事なんてどうでもいいわ。

▼ 1
1枚目 ▼ 2
2枚目 ▼ 3
3枚目 ▼ 4
4枚目 ▼ 5
5枚目 ▼ 6
6枚目 ▼ 7
7枚目 ▼ 8
8枚目 ▼ 9
9枚目 ▼ 10
10枚目 ▼ 11
11枚目 ▼ 12
12枚目 ▼ 13
13枚目 ▼ 14
14枚目 ▼ 15
15枚目 ▼ 16
16枚目 ▼ 17
17枚目 ▼ 18
18枚目 ▼ 19
19枚目 ▼ 20
20枚目 ▼ 21
21枚目 ▼ 22
22枚目 ▼ 23
23枚目 ▼ 24
24枚目 ▼ 25
25枚目 ▼ 26
26枚目 ▼ 27
27枚目 ▼ 28
28枚目 ▼ 29
29枚目 ▼ 30
30枚目 ▼ 31
31枚目 ▼ 32
32枚目 ▼ 33
33枚目 ▼ 34
34枚目 ▼ 35
35枚目 ▼ 36
36枚目

【エロ小説・SS】超上流階級のお嬢様しかいない女子高に転入したら想像以上のイジメが待ってた・・・5発目

$
0
0

月小路編ついに決着。
このパートのシコリティの高さは異常w
読み手が一番嫌悪感を抱いてる幸崎幸はスカってさせる為徹底的に。
月小路ちゃんはシコパート要因という使い分けが天才的すぎる・・・
■所要時間20分 ■約14517文字

【陰湿】レズいじめ【ドロドロ】より


213: 女学院復讐SS5 1/12 2009/08/06(木) 22:36:25 ID:q8ArZmAf
 ベヒシュタイン製のグランドピアノは、さすがに丁寧に磨き上げられていた。光沢を放つ鍵盤
蓋は覗き込めば表情さえ映りこむほどだ。
 今そこには、嗜虐の愉悦と、被虐の恐怖と、二種類の感情が浮かび上がっている。
「え、演奏会……?」
 下半身がむき出しになるまで切り裂かれたズタズタのワンピースだけをまとった格好で、月小
路妃美歌は震える声をあげた。住み慣れた自室の座り慣れたピアノ。だというのに、まるで異
次元にでも放り込まれたような気分だった。
 部屋の中には月小路の他に三人の生徒がいて、全員が敵だ。恐怖に潰されそうになるのも、
無理はない。
 月小路の目の前で微笑む有瀬文月が、楽しそうにうなずいた。
「そう、演奏会。せっかく月小路さんがいて、ピアノがあるんですもの、弾いてもらわないと損じ
ゃない?」
「……」
 ピアノは月小路の最大の誇りであり、唯一のよりどころだ。これを失ったら、月小路はどこにも
いけない。たとえば今、指を一本でも切り落とされたら、それだけで月小路妃美歌という人間
は終わる。そうして目の前のこの女は、その程度のことならばたやすくやってのけるだろう。
「ん、いやなの?」
 だが、断ることは出来ない。状況が許さないし、なにより恐ろしい。同い年の文月のことが、
心の底から怖い。
「ひ、弾くよ」
「そう? つらいならやめてもいいのよ」
「弾く」
 首を振って、月小路は断言した。重い鍵盤蓋を自ら押し上げ、並ぶ黒白の鍵盤に指を添
える。
「何を、弾けばいいんだ」
「譜面は必要?」
「ものによるけど……」
 文月は口元に手をあてて数秒考えると、ピアノに背を向けて鞄の中を漁りはじめた。月小路
をいたぶるためだけに用意したという道具の数々が、あの中にはおさめられているはずだ。
「私はよくわからないんだけど、月小路さんが一番得意なのって、なに?」
「……」
 言われて、月小路はほんの少しだけ黙った。小学校の頃から今まで、繰り返し奏でてきた無
数のメロディーが脳内をめぐる。
 答えはすぐに出た。
「……月光」
「月光?」
 顔をあげて、文月が繰り返す。カメラを構える逢坂が、ぱちくりと目を瞬かせた。
「ベートーベンですよ」
「ああ……柚子澤さん、知ってる?」
「有名な曲だよ。ピアノソナタ第14番嬰ハ短調作品27の2『幻想曲風に』。知らない?」
「詳しいのね」
 鞄の中からコードのようなものを引きずり出しながら、文月が感心したようにつぶやいた。当
の柚子澤は心外そうに肩をすくめて、
「そりゃ、私もピアノはやってるしね」
 と、月小路に視線を向けながらそう言った。
「そうなの?」
「それは意外ですねー」

214: 女学院復讐SS5 2/12 2009/08/06(木) 22:37:14 ID:q8ArZmAf
「にわ子、どういう意味?」
 柚子澤が引きつった笑顔を浮かべて一歩進み出ると、逢坂が乾いた笑いを漏らして二歩
下がる。無意味に緊迫した空気が室内の温度を下げていく。
「遊んでないで手伝って」
 呆れたような声に、二人はそろって文月の方を振り向いた。ようやっと鞄の中から目的の器
具を取り出したらしい。
 それは両手で抱えられるほどの大きな機械だった。L字型の本体にはいくつかのボタンと液
晶が備えられていて、なにやら物々しい印象を受ける。そこから細いコードが四本伸びて、辿
った先には楕円状の平べったいパッドのようなものが繋がっていた。
「なんだそりゃ」
「低周波治療器よ」
 簡潔に、文月は答えた。微電流によって肩こりや血行不良を治療する医療器具である。文
月は絡まったコードをほどきながら、ちらりと月小路に視線を向けた。
 月小路は顔面蒼白になって、その機械をにらみつけていた。
「ああ、なんだ。使ったことがあるのね、これ」
 なら説明の必要はないわね、と文月が微笑む。パッドを手に持って月小路の前に立つと、ゆ
っくりと腰を下ろした。
 椅子に座る月小路の股が、ちょうど文月の目の前にある。下着を取り除かれ、陰毛を剃られ
た月小路の秘部は、痛々しい剃り跡を震わせて陵辱を待っている。
「開きなさい」
「……」
 いまさら、抵抗することに意味などない。震える膝をゆっくりと開く。文月は秘唇に指を這わ
せると、つぷり、とスリットの中に指を沈ませた。柔らかな尻がビクリと跳ねるのを見て、小さく笑
みを浮かべる。
「柚子澤さん、開いていて」
「はいよ」
 柚子澤の指が秘唇を割り開く。先ほど一度絶頂を迎えた余韻がまだ残っているのか、月小
路がかすかに甘い吐息を漏らした。ピンク色の肉壁はぬらりとあやしく照り輝いて、ここから快
感が溢れたのだと知れる。
 文月は粘液を指で掬い取るように襞をひと撫でしてから、手にしたパッドをくちり、と肉壁に
押しつけた。震える声が月小路ののどからこぼれる。構わず、文月はもうひとつのパッドも貼り
つけた。残るふたつのパッドを手の中で弄びながら、舌から月小路の顔を見上げる。
「これ、結構高級品なのよね」
 そうして、見せ付けるようにパッドを掲げてみせた。
 よく見ると、パッドから直接コードが伸びているのではなく、コードの先端についた洗濯バサミ
のような接続端子がパッドをくわえていることがわかる。患部、症状に合わせてパッドを交換で
きるように設計されているのだ。
 文月はわざとゆっくりとした動作でパッドをはずすと、細長い棒のようなものを取り出した。ボ
ールペンより一回り大きい程度のそれには、末端に電極がついているのが見える。
「わかるわね?」
 言って、文月はそれにコードをつなげた。
「――なっ、」
 さすがにこれは予想外だったのか、月小路が小さくうめき声をあげた。凌辱者たちはその声
に笑みを深くする。ぱっくりと開かれたままの秘唇、その奥の女穴に、文月は慎重に電極を挿
しいれた。
「ぅんっ……」

215: 女学院復讐SS5 3/12 2009/08/06(木) 22:38:02 ID:q8ArZmAf
 冷たい感覚が膣に押し入る違和感に、月小路がまた声をあげる。わずかに濡れた響きを交
えるその声は、ますます三人を昂ぶらせた。
「それで、これが仕上げね」
「ま、まだ……」
 あるのか、と、月小路は最後まで言えなかった。文月が手にしているのはコードの先につい
た接続端子だけ。パッドも、棒もない。パクパクと開閉するそれを見て、月小路は全身から血
の気が引いた錯覚に襲われた。
 あれで、どこを、挟むつもりだ?
「待て! 無理、無理、それは無理だ!」
「大丈夫よ」
 切迫した悲鳴を軽くいなして、文月はむき出しのクリトリスに目を向けた。いっぱいに開いた
端子の口が、小さな淫芽を挟み込む。
「えいっ」
 ぎちゅっ!
 勢いよく指が放れ、バネ仕掛けが遠慮なく月小路の秘芯を噛んだ。声にならない悲鳴をあ
げて、月小路の背がビクリとのけぞる。
「準備完了ね」
 念のためテープで補強してから、柚子澤に手振りで合図する。散々に嬲られたとはいえ処
女の秘部だ、すぐに口を閉ざしてしまう。
 成熟した形に無毛の丘、加えてひくひくと蠢く唇から伸びる四本のコードは、いやがおうにも
官能を刺激する。つばを飲み込む音がした。いったい、誰のものか。
「それじゃあ月小路さん、ピアノ。月光だっけ? それをお願い」
「……? ひ、弾くだけでいいのか」
 それでは何のためにコードをつなげたのかわからない。文月はにっこりと笑って、柚子澤に低
周波治療器の本体を示した。
「月小路さんが一音でも間違えたら、柚子澤さん、あれのスイッチを入れて」
「……っ!」
「ああ、なるほど。これ、そんなにすごいの?」
「試しましょうか?」
 くすくすと笑いながら、文月が治療器のダイヤルを操作して、スイッチに指を乗せる。月小路
が制止の声をあげるのを待たず、カチリ、と軽い音を立ててスイッチを押し込んだ。
「んきぃやぁああっ!」
 とたん、月小路の背がのけぞって、ビクリと大きく跳ね上がった。地面に対して水平近くまで
跳ね上がった足が、同じ勢いで振り下ろされる。思わず両手で股間を抑えるものの、刺激は
内側から来ているのだ、意味のあるはずもない。
「やっ、やっ、やめっ、やめ……っ」
 定期的に送り込まれる刺激に抗うように、涙目になって体を抱く。その様子を見て、文月は
満足気にスイッチを切った。
「わかった?」
「……よくわかった。このつまみが強さ?」
「そう。今のが10%くらいね」
 電流も流していないのに、月小路が大きく体を崩した。椅子がガタン、と音をたてて、一同の
視線が集まる。
「どうしたの? 大丈夫よ、いきなり最大値になんてしないから」
「……」

216: 女学院復讐SS5 4/12 2009/08/06(木) 22:38:49 ID:q8ArZmAf
「それにね、」
 立ち上がって、優しく微笑みかけながら、文月は緩やかな足取りで月小路に歩み寄った。
両手を肩に置いて、ピアノに向かって座りなおさせる。安心させるように、軽く肩をたたいて、
「間違えなければいいのよ」
 そう、耳元でささやいた。
「簡単でしょう? あなたの得意なピアノの、得意な曲なんだから。最後まで演奏しきれば、そ
れだけでいいの。私は、絶対に邪魔はしないわ」
「そ、そんな、そんなこと、」
 そんなことを言っても。
 こんな状況、こんな精神状態で演奏などしたことはない。出来るとも思えない。指が震えてい
る。鍵盤が叩けない。そんなことを抜きにしても、ピアノのミスタッチはプロの演奏でも当然のよ
うに起こる。
「できないの?」
 毒を送りこむような声だった。静かで、優しく、だからこそ恐ろしい。
「できないの、月小路さん。ピアノが、弾けないの? このくらいのことで?」
「う……」
 肩に置かれていた手が首筋を撫で上げ、頬を包む。耳元に唇を触れさせて、文月はもう一
度繰り返した。
「できないの? そんなはずはないわよね。貴方がピアノを失ったら何も残らないもの。ただの
傲慢で怠惰な女だもの。そんなはずはないわよね」
 その通りだ。
 ピアノは最大の誇りであり、唯一のよりどころ。月小路妃美歌という人間の価値は、ここにし
かないのだから。
「ひ、くよ。弾けば……いいんだろ」
「そう、弾けばいいのよ」
 文月の体温が離れる。月小路は十指を鍵盤に乗せて、ゆっくりと息を吐き出し、同じように、
ゆっくりと吸い込んだ。肺の中身を全て交換するような――文月の囁きと共に送り込まれた毒
を全て吐き出すような深呼吸をすると、目を閉じて、そのまま数秒静止する。
「弾くよ」
 そして、宣言した。
「演奏、しきってやるよ」
 指先が浮き上がる。足がペダルに添えられる。折れそうになる精神を屹と立たせて、月小路
は鍵盤に指を叩きつけた。
 おそらく、人生で最も多く演奏した曲。文月は知らなかったが、月小路妃美歌の名を世に
知らしめた、彼女の最も得意とする曲。――月光の演奏がはじまった。
 最初の一音の時点で、既に柚子澤は愕然として動きを止めた。あまり音楽を嗜まない文月
や逢坂ですら、それが異様であると、理屈の外で悟ってしまった。
 月小路妃美歌の演奏は、それほどに美しかった。
 ただの和音が、まるで生を持って空を踊っているかのようだ。大気をふるわせる振動が耳元
から入り込み、脳をやさしく撫で回して陶酔へと導いていく。音を外すだとかリズムを乱すだと
か、そんな次元の話ではない。楽譜どおりに弾けることは大前提で、そこからいかに表現する
かが『音楽』なのだと、この時文月ははじめて知った。
 先の宣言は虚勢ではない。きっと月小路は、最後まで弾ききるだろう。
「驚いたわね……」
 軽く頭を振って、文月はそうつぶやいた。下半身がむき出しになるまで切り裂かれたワンピ
ース、股座から伸びる四本のコード、どこをどう見てもそんなものとは無縁のはずなのに、演奏
する月小路からは神々しさすら感じられる。

217: 女学院復讐SS5 5/12 2009/08/06(木) 22:39:38 ID:q8ArZmAf
 自分の甘さを反省するようにもう一度かぶりを振ると、文月は周囲をちらりと見回して、入り
口とは別の扉へと向かっていった。演奏に集中する月小路は気づかない。柚子澤と逢坂は
気づいてはいたが、それどころではなかった。
 柚子澤が考えていたのはひとつだけ。もしこのまま演奏が終わってしまったら、文月はどうす
るのだろう、ということだった。
 まさか、本当にこれで終わりにするとは思えない。幸崎幸にあれほど残酷な仕打ちをしてみ
せた文月が、この程度で満足するはずがないのだ。また何か適当な理由をつけて月小路をい
たぶるに違いない。
 ……けれど、もし文月が「ここで終わり」だと言ったら?
 指が震えるのを自覚する。低周波治療器のスイッチに、知らず人差し指が乗っていた。月
小路の演奏は完璧だ。きっと、そのまま最後まで完璧な演奏をするだろう。
「ゆ、柚子澤先輩……」
 逢坂が遠慮がちに声をあげた。それは、反則だ。だが、それがなんだというのだ。今更どんな
意味が――
「柚子澤さん」
 びくり、と指が震えた。
「それは反則よ」
 携帯電話を手に持った文月が、困ったような顔をしてこちらを見ていた。隣の部屋から戻っ
てきた彼女は、音楽に合わせるような緩やかな足取りで柚子澤の元までやって来る。
「ルールは、守りましょう」
「わかってるよ……」
 歯をかみ締めて、柚子澤は搾り出すような声でそう言った。
 柚子澤が葛藤している間に、曲は第一楽章を終え、更に先へと進んでいた。月光は三楽
章からなるソナタで、徐々にテンポをあげていく。特に第三楽章はそれまでとは別の曲のように
すら思える激しいもので、難易度がもっとも高い。
 第二楽章は二分と少しで終わった。月光は全体で十三分から十五分。これでおよそ半分
の工程を過ぎたことになる。
 三人の見守る中、月小路はひたすらに指を躍らせている。月光ならば、ノーミスでの演奏だ
って何度もこなしている。股の違和感も、身に巣食う恐怖も、何も問題にもならない。
あと数分。もうゴールは目の前だ。
 月小路は確信した。今の自分はかつてないほど冴えている。そう。ピアノに愛され、ピアノを
愛した自分が、この程度の困難で折れるはずがなかったのだ。自分の価値はピアノにしかな
いが、ピアノがあれば、誰より尊く、美しくなれるのだから。
 残り三十小節ほど。演奏も大詰めだった。
 音は美しく、大気は完璧な調べに酔いしれていた。
 彼女が演奏を完成させることを、誰も疑わなかった。
 月小路の体が揺れた。
 文月も、逢坂も、あわてて周囲に目をやった。揺れているのは月小路だけではない。部屋も、
ピアノも、大きく縦揺れの震動を繰り返していた。
 ――震度四。直下型。普段ならば、翌日の会話の種にしかならない、つまらない出来事。
 だが月小路の指をほんの少し、数ミリだけ横に逸らすのには、それだけで十分だった。
 美しく響いていた和音に、かすかな違和が混じる。揺れる室内に目も向けず、ただその瞬間
を待ち構えていた柚子澤は、迷わず指に力をこめた。
 次の瞬間、完璧に調和のとれた大気の調べが、強烈な不協和音で打ち砕かれた。
「あっ……んぁあああっぁあああっ!」
 でたらめな場所に置かれた十本の指が耳障りな音を響かせ、その後を追うように月小路の
悲鳴が轟く。

218: 女学院復讐SS5 6/12 2009/08/06(木) 22:40:32 ID:q8ArZmAf
「ひっ、ひっ、ひぁっ、ああっ!」
 今まで経験したことのない感覚だった。指でこねるのとも、舌で舐められるのとも違う、肉の内
側に直接触れられているような、神経そのものをしごかれているような、いわくいいがたい感覚。
「と、とめっ、とめて! とめてぇっ!」
 前のめりに倒れて腕全体が鍵盤を押す。そのまま崩れそうになる体を、不協和音を奏でな
がら鍵盤についた左手で支える。その瞬間にも、走り抜ける電撃はやまない。
 股間の内側から立ち上る断続的な刺激は、一瞬で全身を駆け巡り、また秘部へと戻ってい
く。腰が勝手に浮き上がり、体が跳ねる。その度に、責め立てるように不協和音が響いた。
「もっ、もうっ、止めっ、ひぇあっ、うぁああんっ」
 視界がぐらぐらと揺れて、あちこちで火花が散っている。畝肉を震わせながら走る電流は、
襞の一枚一枚に無数の針を突き刺すような鋭い痛みと、指先の自慰では決して得られない
強烈すぎる刺激を同時に与える。快感と、はっきり言えるほどではない。しかしただ苦しいだけ
でもない。その境界に揺れる感覚は、月小路から正常な思考回路を奪っていく。
「ひ、ぁ……ふ」
 鍵盤に全身をもたれかけた無理な姿勢で、月小路は小さく息を吐いた。ようやく、治療器の
スイッチが切られたのだ。
「どうだった?」
「ふぁ……」
 返事ができる状態ではない。指先がガクガクと震えて、少しでも体を動かせばそのまま倒れ
てしまいそうだ。
 文月は月小路の肩に手を置いて、支えながらゆっくりと体を起こしてやった。抗議のような声
が漏れたが、舌まで痺れているのか、何を言っているのかわからない。
「ほら、しゃんとして。柚子澤さん、端のスイッチ入れて」
「端……? ああ、この、コードがつながってるところのスイッチ?」
「そう」
 スイッチ、という言葉にビクリと月小路が震える。その肩をぽんぽんと叩いて、文月がまた、耳
元に唇を寄せた。吐息が耳朶からもぐりこみ、鼓膜を揺らして三半規管をぐるりと巡る。また、
毒をささやかれている。
「いい。さっきのはね、ここ――」
「あふぁっ、」
 文月の指が、くちゅり、といやらしい音を立てて月小路の女陰を割り開いた。ぬるりとした粘
液の滲み出る肉壁を指先で撫でて、貼り付けられたパッドをトントン、と叩く。
「――このふたつだけが動いていたのね。この奥にあるのとか、」
「きゃうっ、」
 指先が膣穴からわずかに除く電極の尻をつつく。秘部から一度指を離し、端子にはさまれ
た淫芽を指ではじいた。
「ふぁあうっ」
「ここのお豆のとかは、動いていないの。わかるわね?」
「は……あ、ふ……」
 わからない。今の月小路には、文月の言葉は聞こえていない。聞こえていたとしても、理解
できなかった。電流は止まったというのに、体中が痺れている。
「わかったら、もう一度、最初から」
 痺れているのに、信じられないことを文月が言った。
「ふぁ……?」
「ふぁ、じゃなくて。ほら、鍵盤に指を乗せる」

219: 女学院復讐SS5 7/12 2009/08/06(木) 22:41:21 ID:q8ArZmAf
 文月に手をとられて、指が鍵盤に添えられる。月小路は火花の散る頭で必死に考えた。何
をすればいいんだろう。何をさせる気なんだろう。
「弾くのよ。最初から、もう一回、やり直し」
 嘘だ。
 だって終わったはずじゃないか。たった今終わったはずじゃないか。
「な、んで」
「なんでもなにもないわ。きちんとできるまで、何回でも、やり直すのよ」
「――は、」
 視界が、一瞬でゼロになった。
 まだ、何か声が聞こえる。弾けといっている。無理だ。無理だ。もう無理だ。こんなのは音楽
じゃない。演奏じゃない。できなくたって、どうこう言われる筋合いはない。月小路妃美歌のピ
アノは、もっと気高く美しいものなんだ。
「弾けないの? できないの? ピアノが、弾けないのね?」
 なのに。そう思っているのに。
 その言葉に逆らえない。ここを逃げれば、ここで負ければ生きていないと、どこかで誰かが叫
んでいる。だから、戦わなくては。
「ふ……ぁ……」
 二度目の演奏がはじまった。
 震える指は、それでも見事に演奏を進めた。文月が本当に感心したのはこの時だ。なるほど
月小路妃美歌は確かに天才で、確かに、音楽にその身を捧げているのかもしれない。
 だから、音楽と共に倒れるのだ。
「――あ、」
 失敗は、やはり第三楽章で起こった。声を漏らしながらも指は自動的に演奏を進めるが、そ
れを許す柚子澤ではない。
 二度目の電流は、一度目の比ではなかった。
「あっ――――」
 声が止まる。息が詰まる。与えられた刺激の種類を、脳が判別できない。ただその大きさに
視界が白濁し、意識がそのまま飛ばされ、

「――――いぎゃあああああああああああっ!」

 即座に、同じ刺激で呼び戻された。
 挿入された電極から起こったそれは、いわば爆発だった。密着した膣壁を蹂躙したそれは、
肉の壁を打ち破って全身へ伝播する。痺れる、などという生ぬるいものではない。まるで肉とい
う肉がすべて沸騰しているかのようだった。稲妻はあらゆる感覚を振り切って、全身の神経を
一瞬で焼ききった。文字通り飛び上がった月小路は、うまく着地できずに椅子から転げ落ち
てしまう。伸ばした指先が鍵盤をかすかに撫でて、物悲しい不協和音を響かせた。
「いぁっ、はっ、ふああっ、ひゃっ、ひぎゃあっ」
 血が沸騰する。視界が明滅する。腰が跳ね上がり、手足がバタバタと床を叩く。低周波治
療器の電流は断続的に強弱をつけて流される。新たな刺激が膣から全身を突き刺すと、そ
れだけで意識まで飛ばされる。そうして、同じ刺激でまた引きずり戻されるのだ。
 気の触れた狂人のように床を転げ回りながら、月小路は壊れたおもちゃのスイッチが勝手に
切り替わるように、意識のオンオフを繰り返した。涙と涎が顔中を汚していたが、そんなことに
気づくような余裕はない。
「ふぁ、あ、」
 何度目かの覚醒で、ようやく彼女は自分の体が止まっていることに気がついた。電流はまだ
流れているが、強さを調節したのだろう、体の奥で疼く程度のものだ。

220: 女学院復讐SS5 8/12 2009/08/06(木) 22:42:17 ID:q8ArZmAf
「ぁ、あ、……うぁ……」
 股間のあたりがあたたかい。体温が漏れ出たような錯覚。それでも、月小路は股を覗くことも、
体を起こすこともできなかった。間接がまだガクガクと震えている。太腿あたりから尻の下まで
生ぬるい液体に浸っている気がしたが、体を横に転がすこともできない。
「お漏らししちゃったのね」
 くすくすという笑い声が、そんなことを言った。
「涎まみれのだらしない顔。そんなに気持ちよかったの?」
「あひゃぅっ!」
 反論しようと開けた口から出たのは、文月の言葉を肯定するような甘い声だった。さっきまで
の強すぎる刺激と比べて、今月小路の膣から全身を撫でて回る微電流はあまりにも優しすぎ
る。電気ではない何かが首の後ろを痺れさせて、月小路は無意識に内腿をすり合わせた。
「白目剥くまで電撃くらってよがってるのか?」
「変態ですねー」
「ひ、ひがう……」
 違う、と言っているつもりなのに、言葉にならない。ふるふると力無く首を振ると、文月が笑い
ながら両脇の下から手を差し入れてきた。
「はい、立って。柚子澤さん、最後のスイッチいれて」
「はいよ」
「ひゃ……」
 軽いタッチで柚子澤がスイッチをオンにすると、月小路の体が小さく跳ねた。やさしくなで上
げる微電流が、最後の端子――すっかり膨らみきった淫芽へと電流を送り込みはじめたの
だ。
「やっ、やあぅっ、待っ、ひゃぅんっ、」
 ただでさえ敏感なそこは、文月の執拗な愛撫ですっかり昂ぶっている。ぷっくりと腫れ上がっ
た快楽の中心、その更に深奥、まさしく秘芯というべき奥の奥までを、微電流は撫で上げてい
く。焼ききられた神経の名残を、快楽の電流が伝っていく。ただでさえ震えている足には全く
力が入らない。文月に支えてもらわなければ、立つことすらできないだろう。
「ほら、月小路さん。もう一回よ。今度は最後まで弾きましょうね」
「や、で、できない……」
「できない?」
 また、耳元で文月が毒を送り込む。もうやめてほしい。もう許してほしい。できない。できるは
ずがない。指が動かない。足が震えてる。椅子にも座れない。今度失敗したら、またあの電流
に襲われて――きっと、死んでしまう。
「できるわよ、月小路さんなら。さあ」
 椅子の上まで引きずられて、数分前の焼き直しのように、鍵盤に指を乗せられる。もういやな
のに、ピアノの前に座らされると、弾けないとは言えない。
「やだ、もう、やらぁ……」
「大丈夫よ月小路さん。あなたは人生をピアノに捧げてきたのだから。外で演奏はしなくても、
部屋ではずっと弾いてたんでしょう?」
 今度こそうまくいくわ、と文月は月小路の肩を叩く。無理に決まってる。鍵盤の位置が見え
ない。ペダルがどこにあるのかわからない。頭の中はまっしろで、電流は止まったっていうのに、
全身が痺れてろくに動かない。
 それでも月小路は、演奏をはじめた。
「――あ」
 最初の一音。
 それが聞くに耐えない不協和音になって、月小路ははじめて、自ら演奏の指を止めた。
「ひぁっ――――――」

221: 女学院復讐SS5 9/12 2009/08/06(木) 22:43:01 ID:q8ArZmAf
 目の前が真っ白に染まった。
 全身をハンマーで突き上げられたような衝撃が来たのは、その後だった。
 世界が一瞬で、消えてなくなった。
■■■
「あ、起きた」
「……?」
 ぼんやりした頭で、月小路はその声を聞いた。なんだか視界がはっきりしない。目に力を入
れてどうにか焦点を合わせると、三人ほどの女生徒が笑っていた。
 なんだろう、これは。
 ここは自分の部屋のようだ。目の前にいるのは有瀬文月ではないだろうか。その奥にいるの
は? ……あれも、かつて自分たちが標的にした女たちのように思える。
「らに……あんひゃら……」
 おかしい。舌が回らない。舌だけじゃない、体中が痺れているようだった。これはなんだ。なん
でこんなことになってるんだ?
「どうも現状がわかってないみたいね。柚子澤さん、やっちゃいましょう」
「スイッチオン」
「ポチっとなー」
 逢坂の無邪気な掛け声とともに、柚子澤の指がスイッチを押す。月小路は何か機械のよう
なものがあることにこの時はじめて気がついて――
「んぁあぁあああぁああっ!」
 ――走り抜ける衝撃に、やっとすべてを思い出した。
「いひぅっ、ひゃああああっ、やっ、んんん!?」
 体を跳ねさせようとして、動けないことに気がつく。後ろ手に回された腕はベルトのようなもの
で拘束され、折り曲げられた足は膝の後ろを通る鉄の棒に固定されて、閉じることができない
ようにされている。それらの器具はどうやら背後のグランドピアノにつながっているらしく、月小
路の体はほとんど動けないようになっていた。
「んぁっ、あっ、あううぁあああっ、らに、らにこれええっ」
「何って、拘束。さっきみたいに跳ね回られたら大変じゃない」
「やぁああぁあっ、あっ、ふぁあああっ」
 ガチャガチャと拘束具を揺らしながら、月小路は体を左右に振った。背後のピアノがギシ、と
軋み音をたてたが、それだけだ。
「んああっ、と、とって、これとってよぉおっ」
 ぼろぼろと涙が零れはじめた。股間からは相変わらず四本のコードが伸びている。気絶しな
い程度に抑えられた電流が、月小路の膣を荒らしまわっているのだ。
 筋収縮によって蠢く膣は自ら電極をくわえこみ、弾ける電流は慣れてしまった体に痛みより
も快楽を走らせる。全身を隈なく走破する稲妻は、細胞のひとつひとつを愛撫するような、未
知の悦楽をもたらした。
「いっ、やぁっ、お、おかひくっ、おかひゃくなっひゃああああっ!」
 ガチャガチャと拘束具を揺らしながら、月小路は頭を振り乱した。あまりの激しさにグランドピ
アノがわずかにずれる。それを見て、柚子澤が口笛を鳴らした。
「もっとおかしくなりたいって?」
 そうして、笑いながら強弱のつまみを少しだけ回した。
「ひぅぁああああああっ! やらぁあっ! も、もう、もうやめっ、やぁああああっ」
 まるで全身が性感帯になったようだった。それでいて、全身を同時に愛撫されているのだ。
快楽の稲妻は手加減を知らず、脳髄までも痺れさせる。あっという間に月小路は絶頂まで引
き上げられた。だが、そこから下ろしてもらえない。
「いやぁああっ、いっ、だめっ、こっ、んぁああああっ、とまっ、とまらなっ……!」

222: 女学院復讐SS5 10/12 2009/08/06(木) 22:43:43 ID:q8ArZmAf
 ブツブツと脳の回路が断線する音が聞こえる気がした。体中あちこちが途切れて、そこを快
楽の稲妻がつないでいる。上の口からも下の口からも涎を零して、月小路は繰り返し絶頂に
たたき上げられた。
「ひっ、ひぁっ、もうやっ、やっ、イひたくない、いきたくないのぉっ!」
 懇願には誰も答えない。機械的に送り込まれる刺激だけが、月小路への回答だった。
「月小路さん」
「あああああっ、あ、んふぁあああっ」
 いつの間にか目の前にいた文月が、目線を合わせて微笑んだ。電流が徐々に弱まっていく。
連続絶頂からようやく下ろされて、月小路は小刻みな呼吸を繰り返した。
「もう止めてほしい?」
「あ、うぁ、」
 なんとか、月小路は頷いた。この地獄から解放されるなら、もう何をやってもいい。プライドな
んていらない。
「でも、約束だから。ちゃんとできるまでやらないと。弾けるでしょ?」
「むり、むり!」
「できるわよ。だって月小路さんにはそれしかないじゃない」
「むりなの! むりだよ! もうやだ! やだ! やだあっ」
 子供のように泣きじゃくって、月小路は頭を振り乱した。長い髪が宙を泳ぐ。しゃくりあげて
嗚咽を漏らす月小路を見て、文月は残念そうにため息をついた。
「三回、か。まあ、がんばったわね。それじゃあ月小路さん、弾けない、のね?」
「ぅ……うう、」
「はっきり目を見て、ちゃんと言いなさい。ピアノが弾けないのね?」
「ぁ……」
 微弱な電流が性を刺激する中、月小路は顔をあげた。文月がそこにいる。逢坂がカメラを
構えている。柚子澤が、睨みながらスイッチに手を伸ばしている。
 弾けない。
 弾けない。
 弾けない。
「ひけ、ない」
 こんな状況で、ピアノなんて、演奏できるはずがない。
「ぴあの、が、ひけない」
 月小路妃美歌は、ここでやっと、そう口にした。
 電流が止まった。
 解放された感覚に、全身から力が抜ける。口元から零れた涎が涙と混ざって落ちていく。足
を開いて拘束された淫らな格好のまま、月小路は大きく息を吐いた。
「よかったわね、月小路さん」
 ぽん、とその頭に手を置いて、
「これで貴方も、ただの女よ」
 そう、有瀬文月は微笑んだ。

 視界が飛んだ。

 何の刺激もないのに、世界が真っ暗になった。
「あ」
 そう、月小路妃美歌は、たった今自分の人生を否定した。自分が培ってきたもの、育て上げ
たもの、磨きぬいたもの、その全てが、ただの暴力に劣ると告白したのだ。
 心が、折れた。

223: 女学院復讐SS5 11/12 2009/08/06(木) 22:44:22 ID:q8ArZmAf
「あ……」
 眼球が揺れる。視界が像を結ばない。脱力しきった体が、これ以上動くことを拒んだ。
「それじゃあね、月小路さん」
 言って、文月は柚子澤に手を振った。それを合図に、柚子澤がスイッチを入れる。
 電流が迸った。
「あぎっ――ひぎゃああっ!」
 拘束されているにも関わらず、月小路の体が数ミリ浮き上がった。焦点の定まらなかった目
を見開いて、涎をまきちらす。
「なっ、ぁっ、なんでぇ! 言った! 言ったよ! できないって言ったよぉぉ!」
「そうね、だから?」
 笑顔のままで、文月はそう答えた。それ以上何も言わず、鞄を持って扉に向かって歩いてい
く。柚子澤も満足げに立ち上がり、機械を放置してその後に続いた。
「これから、がんばってくださいねー」
 無邪気な笑顔を浮かべた逢坂が最後にそう言い残して、二人の後を追う。このまま。このま
まなのか。このまま放置されるのか。
 死んでしまう。冗談ぬきに、耐えられるわけがない。
「うそ、うそ、うそ! 助けて、ゆる、ゆるしっ、あぅぁっ、うそでしょお!?」
 体を揺らしても、どんなに力を込めても、拘束具が音を立てるばかり。扉の前まで来た文月
が、ちらりと背後を振り返っても、月小路は悲鳴をあげて体を跳ねさせていた。
「助けは呼んでおいたわよ。すぐに来るんじゃないかしら」
 言って、文月は手の中の携帯電話を振って見せた。文月自身の電話は幸崎の糞尿にまみ
れてトイレの中だ。これは月小路の電話である。月光の演奏中に、隣の部屋から失敬してきた
のだ。
 とはいうものの、月小路には聞こえていないようだった。懇願を続けながら襲い来る激流に悶
える月小路を見て、文月はほんの少し苦笑した。
 扉に手をかける。もう、ここには用がない。
 だが、文月がその扉を開けることはなかった。向こう側から、誰かが扉を開いたからだ。
□□□
「あら、伊勢宮さん」
 息を切らしたアリスが扉を開けてまず目にしたのは、微笑む有瀬文月だった。愕然と手を止
めて、息を呑む。
「幸崎さんの介抱はもう終わったの? もっと時間がかかると思ったのだけど」
 答えられず、アリスは二歩、後ろに下がった。
 アリスが文月から受け取ったメールは、幸崎幸の惨状を伝えるものだ。月小路については一
言も書かれていなかった。彼女は現状を正しく認識して、ここまで走ってきたのだ。
「こ、幸崎さんは、自分で、始末をつけると、言っていました」
「あら、そう」
「そんなことより、これは……!」
 アリスが問いかけるより早く、文月が扉の前から身を避けた。背後の女生徒たちもそれに続く。
知らない生徒が二人もいることに眉をしかめつつも、アリスは部屋に目をやった。
「ひっ――」
 息が止まった。
 ピアノにくくりつけられた月小路は、涎と涙を零しながら何もない場所に向かって腰を振って
いる。ガチャガチャと拘束具が鳴り響き、悲鳴とも嬌声ともつかない叫びがそれを彩っている。
「な、なんで、なんでこんなこと……」
「本当は、次は貴方の番だったのよ」

224: 女学院復讐SS5 12/12 2009/08/06(木) 22:44:53 ID:q8ArZmAf
 震えるアリスの前に、文月の体が立ちふさがった。顎がとられ、唇が触れそうになる距離まで
顔が近づく。
「でもね、かわいそうだと思って、やめてあげることにしたの」
「な……え……?」
 微笑みとともに、文月の手が放れた。脇をすり抜けるように、廊下へと進み出る。あわてて振
り返ったその耳元に、
「せっかく『そっち』にいけたのに、またいじめられる側に戻るのはいやでしょう?」
 とびきりの猛毒が囁かれた。
「はっ……!?」
 きっと今、自分はひどい顔をしている。アリスはそう思って、それは正しかった。文月の表情
がそれを証明している。
「馬鹿よね、伊勢宮さん。自分が仲間にいれてもらえたと思ってたんでしょう? 彼女たちはね、
貴方が慣れないことを無理にやらされて、本当はいやなのに従わされて、でも心のどこかで強
者になれたことを喜んで――そんな貴方を見て、笑っていたのよ?」
「ぁ……」
「本当はわかってたんでしょう。貴方はどこまでいっても従わされる人。虐げられる人。自分か
ら変わろうともしないのに、立場が変われるわけがないじゃない」
 くすり、と哀れみを含む微笑みを浮かべて、
「さようなら、伊勢宮さん。だから貴方は、見逃してあげるわ」
 文月の背中は、廊下の向こうに消えていった。
「う、あ……」
 悲鳴が響いている。知らない女生徒たちが、文月の後を追っていく。いつの間にかへたりこ
んでいる自分に気がついて、アリスはそれでも立ち上がろうとした。助けなければ。いくらなん
でも、あんなのはひど過ぎる。
 助けなければ……?
 自分が泣いていた時、誰も助けてくれなかったのに?
 自分が叫んでいた時、笑っているだけだったのに?
 それなのに、自分はどうして、あの子を助けるのだろう。
 今だって、彼女たちは自分のことを、仲間だなんて思ってないのに。
「たひゅけてえええっ」
 思考を蹴飛ばすように、月小路の悲鳴が轟いた。あわてて顔をあげる。助けるのか、助けな
いのか、彼女の命運は、アリスの両手にかかっている。きっとこの決断は、アリスの今後を左右
する。
「あ……今!」
 何と言おうとしたのだろう。今から? 今さら? どちらにせよ、言葉は完成しなかった。アリス
の躊躇を待たず、支えを失った防音扉が、重い音をたてて部屋を外界から隔絶したのだ。
「あ……ああ……」
 悲鳴はもう聞こえない。目の前にはただの扉があるだけ。開けばそこには平穏な寮の一室が
あるのだと、そんな願望すら抱かせる日常。
「あ……」
 決断すら、できない。
 アリスは無人の廊下、無音の扉の前で、ただ呆然と座りつづけた。

225: 名無しさん@ピンキー 2009/08/06(木) 22:45:45 ID:q8ArZmAf
以上です。まさか一月もかかるとは思わなかった。すいません…
んじゃつづき書いてくる。

…まだつづくよ!

226: 名無しさん@ピンキー 2009/08/06(木) 23:01:34 ID:ELu7zJZx
覗きに来たら投下宣言来たー!
早速脱いでライブで読ませて貰った乙、相変わらず壊しっぷりがハンパなかったよ
文月がアリスをねっとりと責め堕とすのも期待しているぜ

227: 名無しさん@ピンキー 2009/08/06(木) 23:05:42 ID:l/qaSLVu
うひょう! とととりあえず乙!

229: 名無しさん@ピンキー 2009/08/06(木) 23:37:08 ID:BfHfy6kZ
最高すぎる…
続きに期待!

230: 名無しさん@ピンキー 2009/08/06(木) 23:43:31 ID:kqDWTi1+
もう凄すぎて何を言っていいやら

とりまGJ!、

231: 名無しさん@ピンキー 2009/08/06(木) 23:43:53 ID:kqDWTi1+
もう凄すぎて何を言っていいやら

とりまGJ!、次回も楽しみに待ってるぜ

233: 名無しさん@ピンキー 2009/08/08(土) 13:22:49 ID:3FQZjDVG
凄いなあ
緊迫していて、迫力があって、なんというか本当に上手い
続きを楽しみに待ってます

234: 名無しさん@ピンキー 2009/08/08(土) 15:05:37 ID:Lc7rt7Db
待ってた。
精神的な攻めと肉体的な攻めがあわさってたまらんです。

235: 名無しさん@ピンキー 2009/08/08(土) 21:41:16 ID:V9K6IZQD
すごい…落とし方が半端じゃない…
こんなに続きが楽しみな作品はなかなかないな。GJ!

236: 名無しさん@ピンキー 2009/08/10(月) 00:32:34 ID:oddDo2Xw
やっぱり精神的に責めるの良いなぁ

【エロ小説・SS】超上流階級のお嬢様しかいない女子高に転入したら想像以上のイジメが待ってた・・・6発目

$
0
0

このシリーズはこれで終わり!
未完なんだけど、個人的にはここで終わりでもいいと思う。
アリス編がなく打ち切り(失踪)で俺たちの戦いはこれからだエンドだけど、
その後のアリスと文月の関係を色々想像しながら楽しめるしね。
文月無双でアリスちゃんを屈服させてSMレズカップルになる妄想が捗るぜ。
■所要時間25分 ■約15787文字

【陰湿】レズいじめ【ドロドロ】スレ


301: 女学院復讐SS6 1/12 2009/12/06(日) 17:04:05 ID:nClvIQgC
 有瀬文月が自分の嗜虐嗜好を自覚したのは、彼女が中学にあがる前だった。
 十歳になる頃には既にそれに近い感覚はあったが、その時の文月にはまだ、そんな性癖が
存在するということ自体、わからなかったのだ。文月の常識はまだ、自分の異常を押しとどめる
ことに成功していた。
 それが完全に崩壊したのが小学校四年生。学校で飼っていた兎が殺されるという事件が起
きた時だった。
 周囲の同級生がその光景の悲惨さに泣く中、文月は自分が悲しんでいないことに気がつい
た。いや、悲しまなかったわけではない。それよりも遥かに、強い感情があったのだ。
 兎のうちの一羽にはまだ息があった。ただ生きているだけで、あとは死んでいくだけだろうそ
の兎を、文月は誰にも悟られないようにこっそりと殺した。
 どうせ苦しんで死ぬのだから、早く楽にしてあげよう、と、そんな考えがあった。安楽死という
概念こそ知らなかったが、文月はやさしさから兎を手にかけたのだ。
 それが直接的なきっかけだった。
 死んだ兎を見た文月が得たものは、ひどく鬱屈した、しかし激しい――快感だった。
 有瀬文月はこの時、自分が他者を虐げることに悦びを感じることを確信した。それを異常と
知っていながら、否定する気は起きなかった。
 そして、文月が自分が『虐げる側』なのだと自覚したのと同じ頃。
 伊勢宮アリスもまた、自分が『虐げられる側』なのだと、ぼんやりと自覚していた。
 二人はこれまで何の接点もなく生きてきた。その二人が接触した時、アリスは虐げる側で、
文月は虐げられる側に立っていた。
 アリスは変わりたいと考えている。虐げられて生きるのは嫌だった。いじめられる側に理由が
あるのなら、自分が変わることでそれを無くそうと思った。
 文月は変わる必要はないと考えている。誰かを虐げながら生きるのは面倒だから、この感情
を抑えて生きようと思った。たまに溜まったものを晴らしていけば、それで済むはずだった。
 そうしてどこまでも対照的な二人は――結局、すれ違ったのだった。
 
「ふぅ……」
 自室の天井を見上げて、文月は小さく吐息をついた。一仕事終えた虚脱感は、一日置い
ても抜けきらない。やりつくした、というには些か控えめな遊びだったが、それでもここまで腕を
振るったのは久しぶりだ。使いもしないのに集めていた嗜虐コレクションが日の目を見たことも、
どこかうれしい気分になっている原因だろう。
 いつもは大きい鞄にいれて隠してあるそれらは、ストレス発散として収集しているものだ。見
つかったら大変だが、入学のさいこっそり持ち込んだのである。
 文月の父親である、ALICEグループ総帥有瀬王春は鞄の中身も文月の性質も知っている
が、何も言わずに彼女を送り出した。態のいい隔離だと文月は考えていて、それはあたってい
る。
 大人しくしていよう、と思ってはいたのだ。中学の時に少しばかり『やりすぎた』せいで、文月
はここに放り込まれた。卒業するまで粛々と過ごそうと、そう考えてはいた。
「でも、しょうがないわよね……」
 売られた喧嘩だ。しかも、文月は二ヶ月我慢したのである。
 机の上にあるノートパソコンにちらりと目を向ける。開きっぱなしの液晶はスクリーンセイバー
に切り替わっていた。
 思い出にするほど時間が経っているわけではないが、デジタルカメラのデータでも見ようかと、
文月の指がタッチパッドを操作する。が、フォルダを開きはしなかった。
 部屋の扉を、遠慮がちにノックする音が響いたからだ。
「なあに、早苗」
「文月さん、今、大丈夫ですか? クッキー焼いたんですけどっ」

302: 女学院復讐SS6 2/12 2009/12/06(日) 17:09:14 ID:nClvIQgC
 頬を赤く染めて、わずかに開いた扉からこちらを伺うのは、同室の早苗だ。ショートボブの黒
髪で、頭の両端からちょこんとひと房飛び出すように結わえている。待ちきれないように体を揺
らす早苗にあわせて、そのひと房が小動物の尻尾か、あるいは耳のようにぴょこぴょこと跳ね
ていた。
「そうね、いただくわ」
 ノートパソコンを閉じて、文月は扉をくぐった。礼染女学院の寮は二人一組で使うが、一室
が三部屋に区切られている。それぞれの個室とダイニングである。簡易キッチンも用意されて
いて、早苗はここでお菓子を作るのが趣味だった。
「文月さんこないだの夜は忙しいみたいだったけど、少しは落ち着いたんですか?」
「そうね……だいたいの後始末も済んだし、もう、全部終わったと言ってもいいわね」
「そうなんですか。えへへ、なんだかわからないけど、無事にすんで良かったですね」
「無事に――」
 その言葉に文月はくすりと微笑んだ。無事に。いったい、何に対してそう言えばいいのか。
 糞尿にまみれて自己を否定した幸崎幸にか。
 唯一の支えを破壊された月小路妃美歌にか。
「――そうね。無事にすんで、何よりだわ」
 無事といえるのならば、あのクォーター、そもそもの発端の位置にいた伊勢宮アリス、彼女だ
けは無事だといえるかもしれない。文月は彼女に何もしていない。少し厳しい指摘をしただけ
だ。まさかあの程度で心が折られる人間などいまい。
 正直、文月はあまり彼女に興味がない。芯の弱い人間はつまらないのだ。
「はい、クッキーと紅茶です。自信作ですよ!」
「ありがとう」
 かわいい後輩の作ったクッキーを口に運びながら、文月はこの穏やかな生活をいとおしいと
思った。心のどこかで何かが唸り声をあげていたが、そんなものは気のせいだ。
 復讐は終わった。暴れていい時間は終わったのだ。
 だからこの獣は鎖につないで、眠らせておかなければいけない。
 ことの終わりから二日を経て、文月は小さな幸福の中に、やっと復讐の完成を自覚した。
 こうして、有瀬文月の短い復讐は幕を下ろした。 
■■■
 香堂智恵はその日、閑散とした放課後の教室で、一人本を開いていた。
 読み始めると終わるまで止まらないのは彼女の悪い癖だ。どうしても続きが気になって、本を
閉じることが出来ないのである。それでも授業や用事があればそちらを優先させるが、今日は
もう帰るだけだ。ページが残りわずかということもあって、読みきってしまおうと考えたのである。
 物語は終盤に向かって盛り上がっていく。結末まではもうあと少しだ。……と、そこで、はやる
気持ちを抑えながらページを繰っていく香堂の指がピタリと止まった。
「ああ、よかった。まだ残ってましたか」
 教室の入り口に、見知らぬ生徒が立っていた。とっさにスカーフのラインを確認する。二本。
一学年上の先輩だ。
「香堂さん、よね?」
「はい」
 間の悪いことに、自分に用事があるようだ。香堂はため息を飲み込んで本を閉じた。教室に
すたすたと入ってくる生徒は、背筋をピンと伸ばした凛々しい印象のある人物だった。本を鞄
にしまって、階段状になっている教室を前方へと降りていく。先輩は微笑みを浮かべて待って
いた。
「私のことわかるかしら。生徒会なんだけれど」
「ああ……」
 言われてみれば、確かに行事のたびに壇上で見かける顔だ。しかし生徒会が何の用だとい
うのだろう。

303: 女学院復讐SS6 3/12 2009/12/06(日) 17:10:15 ID:nClvIQgC
 ふと、香堂は数日前の出来事を思い出した。過去、香堂に凄絶な屈辱を与え、そして今に
なってその記録を外部にばら撒いた幸崎幸という生徒のことだ。
 表沙汰にはなっていないはずのアレが、そして香堂自身は参加していなかったが、その後に
起こったはずの月小路妃美歌への報復が、問題になっているのだろうか。
「たいしたことではないのだけど、会長が呼んでいるのよ」
「会長が……」
 相手の言葉を繰り返しながら、香堂は心中、そんなはずはない、とつぶやいた。幸崎も月小
路も事を公にはしていない。幸崎は出来るだけ平静を装って登校してきているし、月小路が
学校に来ないのはいつものことだ。復讐劇を計画した有瀬文月の言葉が正しければ、もう何
もかも終わっているはずなのだ。
「行ってもらえる?」
「はい」
 断る理由はない。香堂は頷いて、生徒会役員だという先輩と連れ立って教室を出た。他に
も用事があるらしく、そこで先輩とは別れる。生徒会室までの道のりを思い浮かべながら、香
堂は廊下を歩き出した。
「何の用ですかね……」
 件の復讐劇に関して、香堂の考えは他の参加者とは異なる。
 そもそもの立案者である有瀬文月や、柚子澤蜜柑、逢坂仁和子などは復讐を楽しんでい
た。他者に暴力を加えることに、喜びを感じていたのだ。
 香堂にもそれ自体を否定する気はない。ないからこそ、復讐に参加した。
 だが、釈然としないものを抱えているのも、また確かだった。
 かわいそうだとは思わないが、自分が手を汚している事実にいやなものを感じた。復讐という
名目で暴力を振るうことは、幸崎が自分にしたこととなんら変わりがないのではないかと、そう
思わないではいられなかった。
 だから、彼女は月小路を標的とした復讐には参加しなかったのだ。
「そういえば、相田さんはどう考えているのかしら」
 実行に際して、相田涼香だけは現場にいなかった。彼女が復讐についてどう考えているの
か、聞いてみたい気がした。
 そんなことを考えているうちに、生徒会室の大きすぎる扉が目の前にあった。ご丁寧に用意
されているノッカーを叩いて、
「香堂智恵です」
 と、声をかける。中からすぐに「どうぞ」と涼やかな声が返ってきた。
 今の生徒会長は天王寺弥生という三年生で、文武両道の才女である。女系で有名な天王
寺家の三女であり、ずば抜けた才覚から家の今後を任されていると噂される。
 女傑。そんな言葉が似合う女性である。
 存在は知っていたが、面と向かうのははじめてだ。いささかの緊張を自覚しながら、香堂は
扉を開いた。
 
 とたん、噎えた匂いが立ち込めた。
 
 汗と、尿と、そして濃密な淫液の匂いが交じり合う、一度嗅いだら忘れることのできそうにな
い匂いだった。そう、実際香堂はこの匂いのことをよく覚えていた。
 あの時、授業中のトイレの中は、この香りで満ちていたのだ。
「あ……ぅぁ……」
 うめき声が聞こえた。ふらふらと室内に踏み入ると、背後でひとりでに扉が閉まる。重厚な大
扉はそれなりに大きな音を立てたが、香堂にそんなことを気にする余裕はなかった。

304: 女学院復讐SS6 4/12 2009/12/06(日) 17:12:16 ID:nClvIQgC
 広い生徒会室。その中央に、生徒が独り、白目を剥いて横たわっていた。制服は着ていな
い。それ以外のどんな服も身に着けていない。十代の裸身をさらけ出して、時折ビクビクと痙
攣している。
 口元には何か器具のようなものを噛まされて、こぼれた涎が絨毯を汚していた。股座には手
首ほどもありそうな巨大な筒状の何かが突きこまれて、処女でもないはずなのに血が流れてい
る。一歩近寄ると、重量に引かれて横に流れる両乳の先端に、ピアスのような物がゆれている
のまで見えた。
 それは、明らかな陵辱の痕跡だった。
「あ……いだ、さん……」
 ぐらり、と世界が揺れる。吐き気すら覚えた。
 その名前を、香堂は知っている。相田涼香――計画に参画しながら直接的な報復には及
ばなかった、五人目の復讐者。利尿剤入りのジュースを幸崎に飲ませた、仕掛け人。
「な、なんで、こんな……」
 声がふるえる。足もふるえている。報復だということは、すぐに思い当たった。だが誰が? 幸
崎幸にはできない。彼女の心は文月がへし折った。月小路妃美歌にはもっと無理だ。学校に
すら来ない引きこもりが、どうやってここまでいたぶれるというのか。
 誰もいない。復讐は終わっている。報復に報復が返ることなど、ないはずなのに。
「当然の、結果ですよね」
 この部屋に入室を促したのと同じ声が、そうつぶやくのが聞こえた。あわてて視線をめぐらせ
る。探すまでもない。彼女は香堂の真正面、部屋の奥、中庭の見渡せる大きな窓のそばに立
っていた。最初から、隠れもせずにそこにいたのだ。
「私たちに復讐した貴方たちなら、これを否定することは、できないですよね」
 そこにいたのは、幸崎幸でも、月小路妃美歌でもない、そしてもちろん、この部屋の主人で
あり、香堂を呼びつけたはずの生徒会長でもなかった。
 輝くような金の髪、吸い込まれるような碧眼。学院でも珍しいクォーター……
 そう。
 香堂の時にはいなかった、三人目の陵辱者。文月が唯一見逃した、かつて被害者だったら
しい誰か。
「香堂智恵さん。私は貴方に、復讐します」
 伊勢宮アリスが、そこにいた。
■■■
 終わってみればたった一日の復讐劇は、文月の生活に何も残さなかった。二ヶ月に渡った
陰湿な嫌がらせが消えたくらいで、文月は当たり前の顔をしてゆるやかな日常へ帰ってきたのだ。
 一週間ほどの間を置いてそれとなく探りをいれてみたところ、アリスや幸崎はきちんと登校し
ているらしい。月小路は相変わらず引きこもっているようだ。
 文月の行為が明るみに出ることはなかった。学院の性質はもとより、幸崎や月小路が外部
に漏れることを嫌ったのだろう。特に月小路は、ピアノが弾けなくなった、などと言えるはずもな
い立場にいる。
 柚子澤や香堂とは、すれ違えば挨拶する程度の関係だ。そもそもお互い、会えば嫌な記憶
を思い出す。用もないのに顔をつき合わせても憂鬱なだけだ。
 逢坂仁和子だけは持ち前の明るさでよく声をかけてくれるが、それもさほど仲が良いというわ
けでもない。そもそも学年が違う――彼女は中等部なのだ。
 新調した携帯電話には、誰のアドレスも登録しなかった。
 唯一の例外として、相田涼香とはそこそこに親密な関係を築いている。彼女は復讐に直接
参加しなかったこともあり、撮影したデータを肴に二人でこっそりとジュースで乾杯などしたものだ。

305: 女学院復讐SS6 5/12 2009/12/06(日) 17:13:13 ID:nClvIQgC
 ともあれ、文月にとって、それが今回の顛末だった。
「……?」
 だから、その日帰宅しようと開いた靴箱の中を見て彼女が眉をしかめたのも、無理からぬこと
だった。
 靴はある。きちんと揃って入っている。問題は、その上に乗っているCDのケースだった。
 あるはずのものがないということは以前ならばよくあったが、ないはずのものが入っているのは
これがはじめてだ。
「……ラベルはなしか」
 透明なケースにおさめられているのは、どうやらDVDのようだ。白いレーベル面には何も書
かれておらず、市販されているデータ用ディスクであることが伺える。一応靴箱を確認するが、
自分のものだ。
 ここでディスクを見ていてもはじまらない。文月はそれを鞄にしまうと、普段どおりの足取りで
昇降口を後にした。
 文月は部活動に所属していない。純粋な帰宅部はこの学院では珍しいが、そんなことを気
にする文月でもないから、授業が終わればまっすぐ寮に向かうのが彼女の日常だった。だから、
彼女が寮に戻る時、中はほとんど無人である。この日もそうだった。
 自室の扉を開けて、革靴を脱ぐ。ちゃんと鍵をかけてから猫のスリッパを取り出して、かわり
に靴を靴棚にいれる。靴棚には他に数足の靴と、ウサギのスリッパが入っている。
 足が沈み込むような錯覚すらする絨毯を踏みしめて、文月は『ふづきさんのお部屋』というプ
レートのかかった扉の前まですたすたと歩いていく。早苗が作ったプレートに少し笑みを浮か
べて、扉を開いた。
 無駄なものを極力省いたシンプルな部屋に入ると、文月はまず机の上のノートパソコンを開
いた。鞄をその脇に置いて、中からディスクを取り出す。本体脇のスイッチを押してトレイを引
き出すと、今は何も入っていないそこに白いディスクを置いた。
 ヒュイィン、とスムーズな稼動音を立ててトレイが飲み込まれていく。しばし待つと、画面上に
ディスクの中身がフォルダとして表示された。
 表示されているフォルダの中には、ふたつのファイルが入っている。どちらも動画ファイルの
ようだ。タッチパッドに指を滑らせて、文月はカーソルをうちのひとつに合わせた。
 開く前にウイルスがないかどうかだけチェックする。手馴れた調子でスキャニングを済ませると、
文月は躊躇も好奇心もなく、いっそ事務的な調子でファイルを開いた。
 自動で動画再生ソフトが立ち上がり、小さなウインドウが現れる。かすかに目を細めて、文月
は細い指先でいくつかのキーをタッチした。すぐにウインドウが全画面表示に切り替わる。
 まず、ノイズが液晶を埋めた。それからわずかの間を置いて、映像が切り替わる。
 どうやら室内らしい。しかし、解像度が低く粗い上に、やたらと上下に揺れていて、何が映っ
ているのかほとんどわからない。スピーカーから聞こえてくるのは何気ない雑談のように思える
……これは、校舎の中だろうか。
 幾度か近い位置からささやきかわす声が聞こえた。どうやら撮影者の声らしい。そこでやっと
画面の揺れがおさまった。やはり校舎の、廊下のようだ。カメラは下を向いていて、見慣れた
絨毯と、上履きを履いた生徒たちの足がいくつか見て取れた。
 休み時間か、放課後なのだろうか。
 カメラの標的は目の前にいる生徒らしい。一体どういう方法で操作しているのか、足元から
ゆっくりとフレームをずらしていく。下から覗き込んでいるとしか思えないのだが、まさかそんな
真似を校内でできるはずもない。
 ターゲットは黒いストッキングを着用していた。繊維が細かく肌に吸い付くそれを、カメラはの
ろのろと追っていく。まるで安物のAVのようだと文月は思った。さすがに、見たことがあるわけ
ではなかったが。
 太ももが映し出される頃になって、標的となっている生徒のスカートが短いことに気がつく。

306: 女学院復讐SS6 6/12 2009/12/06(日) 17:14:25 ID:nClvIQgC
 礼染女学院は成り立ちや風聞から受けるイメージほど厳しい学校ではない。さりとて、こと服
装に関して言えばそこまで自由というわけでもないはずなのだが。
 そんなことを考えていた文月は、次の瞬間映し出されたものを見て、一瞬、かすかに眉を跳
ね上げた。
 形のよい、丸いお尻。ストッキングによって形を整えられ、きゅっと引き締まったそれが、フレ
ームにおさめられている。やはり下から覗き込んでいる。何か器具を使っているのだろう。
 短すぎるスカートの襞はかろうじてお尻の丸みを隠す程度で、あれではさすがに指導を受け
る。すこしでもかがめば下着が見えてしまう、そういう長さだった。
 が、その心配はない。
 その生徒はそもそも、下着なんてつけていなかったからだ。
「……よね、これは」
 粗い画像にまじまじと目を凝らす。黒いストッキングなんてつけているものだから余計に分か
りづらいが、下着のラインが出ていない。どころか、繊維の奥には淡い茂みまで見える。
 文月は一度、映像を止めた。
 液晶を見つめる。気のせいかと思ったが、違う。粗い画像でも見分けやすい、白い楕円形の
何かが、ストッキングの向こう側で剥き出しの秘部に触れている。
 ローターだ。
 実物を、文月も持っている。指先でつまめる程度の小さな器具。女性が自身を慰めるため
に使う、電動式の玩具である。
 軽い仕草で指を跳ねさせ、キーを叩く。映像が再開された。
 よくよく耳を澄ませば、モーター音も聞きとれる。カメラはいたぶるように秘部を眺め回して、
更に上へと向かった。
 礼染女学院はセーラー服だ。今は移行期間なので、夏服冬服の判断は各自に任せられる。
画面に映る生徒は夏服を着ていた。あるいは、着させられていた。
「つけてない……」
 ぽつり、と文月はつぶやいた。薄手のセーラーは陽に透かされて、その奥にあるものをさらけ
出す。もちろん本当に透けているわけではない。だが、膨らんだ胸部の頂点で震える突起が
生地を押し上げるのはどうしようもない。うっすらと桜色が見えるのは、画面上の錯覚か、ある
いは単なる気のせいなのか……それとも。
 更に、画面は上へ向かう。白い首筋はじっとりと汗に濡れていた。羞恥に耐えているのか、
悦楽を堪えているのか、その両方なのか。
 震える顎、引き結んだ唇。形のよい鼻、その上に乗る眼鏡のブリッジ。
「……」
 ここにきて、ようやく文月は映る人物の正体を知った。そして同時に、この映像の意味をほぼ
正確に悟った。
 今にも泣きそうな顔で改造制服に身を包み、人のあふれる廊下で身を震わせているのは、
誰であろう、香堂智恵だった。
■■■
 見られている。
 事実はどうあれ、香堂智恵はそう感じていた。実際、廊下で談笑する生徒たちのうち何人か
は、過激すぎる香堂の制服に注目している。
 黒いストッキングはいつもよりも肌の露出を少なくしているはずなのに、太ももを撫でる風がい
やに冷たく感じられた。短すぎるスカートをおさえる手がカタカタと震えて、掌にはじっとりと汗
が浮かび上がっている。
「いい格好ですね」
 背後から、そう声が聞こえた。透き通るように美しい声だった。
「こ、こんな格好、」

307: 女学院復讐SS6 7/12 2009/12/06(日) 17:15:29 ID:nClvIQgC
「自分で選んだんですよ、香堂さん」
 声は、そう続けた。唇を噛んで、香堂は震える顔を前に向けた。
 ――生徒会室で相田涼香を発見した香堂は、選択を迫られた。この場で彼女と同じように
陵辱の憂き目に遭うか、それとも、とある格好をして校舎を一周するか。
 香堂の脳裏に閃いたのは、かつて自身が受けた屈辱であり、そして幸崎幸に与えた暴虐だ
った。あんな思いをするのはもう嫌だ。
 逃げる、という選択肢もないではない。だが、アリスが生徒会室を陵辱の舞台に選んだという
ことは、少なくとも生徒会のうち幾人かはアリスの味方だということだ。
 そう、香堂を呼びに来たあの役員も、そうなのだろう。逃げ出しても意味がない――状況が
悪化するだけだ。
 かくして、香堂は卑猥な制服に身を包むこととなったのである。
「それじゃあ、行きましょうか。ゆっくり歩くんですよ」
「……」
 肩越しに、ちらりと視線を投げる。圧倒的優位な立場から香堂をいたぶっているはずの伊勢
宮アリスは、なぜか厳しい顔をしていた。緊張しているように見える。
「早くしてください」
 促されるままに、香堂は歩を進めた。
「んぅ……」
 一歩踏み出しただけで、自然と声が漏れた。秘部に埋め込まれたローターは微細な振動を
繰り返して、絶えず刺激を送り続けている。歩くだけで、その震えが倍増されて伝わってくるのだ。
 体の中心を撫でるような曖昧な刺激は、しかし確実に香堂の官能を揺さぶっていた。
 なるべく刺激を抑えるように、内股になってしずしずと歩き出す。訝しげな視線を何度か受け
たが、それ以上に注目してくる生徒はいなかった。『スカートが短い気がする』程度の違和感
なのだろう。まさかその内側で、ローターが暴れていることなど彼女らに知るよしもない。
「そんなにゆっくり歩いていたら、終わりませんよ」
「……ぅ、んぁ……」
 ついさっきとまるで逆のことを言いながら、アリスがくすくすと笑った。ローターの振動がわず
かに強くなる。アリスが急かしているのだ。
 歩く速度をあげようにも、少し大またになっただけでスカートの裾が気になって足が止まって
しまう。ストッキングを履いているから、遠目になら下着をつけていないことは悟られない……そ
う思っても、やはり大きな動きを躊躇してしまう。
 そうしてまごまごと鈍重な歩みを続けるからかえって注目の機会を増やしてしまうのだ。
「ぅ、うぅ……」
 じわじわと擦り寄ってくる官能の熱は、お腹の下の方にたまって全身を炙っている。微妙す
ぎる刺激はかえって自分自身の性欲を強く意識させる。体中の感覚が全て股間へ集まって
いくような錯覚すらあった。
「足が止まっていますよ」
「ひぁぅっ――」
 思わずあげそうになった嬌声を、無理やりに飲みこむ。ローターからの刺激が、急激に強ま
ったのだ。
 一気に最高値まで引き上げられた振動は、すぐにまたゆるやかに撫でさする曖昧なラインに
戻されたが、一度あげてしまった声は周辺の生徒たちの目を集めるのに十分すぎた。注目か
ら逃げるように、ひきつりそうになる足を懸命に動かして、香堂は廊下を先に進む。
「そんなにあわてなくてもいいのに」
 急がせたいのかそうでないのか、アリスがまた矛盾したことを言う。
 ほんの一瞬ではあったが体の中心を貫いた衝撃は、香堂の中にあるスイッチをいれるのに
十分だった。

308: 女学院復讐SS6 8/12 2009/12/06(日) 17:16:48 ID:nClvIQgC
 鼓動の速度が倍になる。さっきまでと変わらないはずの振動が、妙に強く感じる。震える足が
少しずつ前に進むと、その度に秘唇をさする衝撃が強くなる。思わず太ももをすり合わせて、
そのはしたない仕草に気づいてあわてて前進を再開する――
「淫乱」
 ――それら一連の行為を見つめて、ぼそり、とアリスがつぶやいた。
「……ッ」
 否定できない。吐く息すら荒く、頬の紅潮している自分が、何を言えるだろう。
 息がおさまらない。今が冬だったら、口のまわりがずっと白くけぶっているだろう。熱を孕む吐
息が口の端から漏れて、それをこらえようと唇を合わせれば、口内にじっとりと唾液が溢れる。
涎を零しているのは下の口も同じで、汗と混じりあった濃密な粘液が股間からふとももまでをぐ
っしょりと濡らし、ストッキングの繊維を肌に張りつかせていた。
「はぁっ……は、ふ……」
 右足を前に出す。ぐちゅり、という音が聞こえる。
 左足を前に出す。にちゃり、という音が聞こえる。
「は……ぁ……」
 気のせいだ。本当にそんな音が響いているわけではない。だが、一度頭の中で鳴りはじめた
淫音は、まるで香堂を煽るようにこだまする。
 そうしてその音が響くたびに、体の奥の方で、何かがずぐん、ずぐんと蠢くのだ。股座から伸
び上がる性感は膣道を通って子宮に達する。そこで確かに、得体の知れない何かが暴れて
いる。
「ん……んふぁ……は、はぅ……」
 ふとももをすりあわせながら歩く香堂は、自分が性欲をこらえるためではなく、貪るためにそう
しているのだと、うすうす気づきはじめていた。膝頭がこすれあうたびに大きくなる刺激が、香堂
を内側から破壊していく。尻を振りながら歩く姿がどれほどいやらしく惨めか、ちらちらとこちら
を伺う同校生たちを見ればわかりそうなものだ。
「とてもかわいらしいですよ。まさに、雌犬という風情で」
「は、ぅ……んぅ……!」
 引き結んでいるはずの唇から、あえぎ声と一緒に涎が一滴こぼれた。あわてて口元をぬぐって、
「ぁ……」
 掌についた唾液を見て、香堂は一瞬動きを止めた。
 手を振って、また歩き出す。ぬらりと光る唾液は彼女の性を象徴しているようで、あげく香堂
はそれを『舐めたい』と思ってしまったのだ。
「ふ……」
 ローターの刺激が少しずつ強くなっていることを、この時香堂はやっと悟った。弱い刺激を
延々与えているように思わせて、気づかれないようにリモコンを操作していたのだ。
「ん、んぁ……あふ……」
 気づいてしまうと、余計にローターが意識された。脳裏に、かつて凌辱された記憶が蘇る。
泣いても叫んでも許してもらえなかった、あの地獄のような時間が。
 視界がだんだんと曖昧になっていく。すれ違う生徒たちの顔がよく見えない。ここはどのあた
りだろう。廊下の景色はどこも似たようなもので、それが余計に香堂の理性を削り取っていく。
朧とした世界を漂うように歩き続ける。もはや明確な感覚は、股間を嬲る淫悦だけだった。
「香堂さん、止まってください」
 唐突にささやかれて、香堂は足を止めた。現実から乖離していく香堂の意識は動きを止め
ても不明瞭なままで、ぼんやりと靄がかった世界を眺めるばかりだ。半開きの口元からは断続
的にあえぎ声が漏れている。かろうじて声を抑えているのが、ぎりぎり残された理性だった。
「ここには、誰もいませんよ」

309: 女学院復讐SS6 9/12 2009/12/06(日) 17:17:24 ID:nClvIQgC
「ぁ……あ、ふぁ……」
「いくらでも、声をあげていいんですよ」
「あ……」
 まるで催眠のように、アリスの声が忍び寄ってくる。綻んだ理性の隙間を通りぬけて、香堂の
内側を侵略していく。細く綺麗な指がそっと震える尻に添えられた。それだけで、香堂は背を
震わせてしまう。
「ほら」
 短すぎるスカートの裾をくぐって、ぐしょぐしょに濡れたストッキングを撫でる。薄布一枚隔て
た感触が、優しくなだらかに、香堂を昂ぶらせる。
 そうして、
「叫んで、いいんですよ……!」
 小声でそういうと同時に、アリスの指が、ストッキングごと香堂の菊座につきこまれた。
「――っ」
 声をこらえる。肛門から背筋を突き抜けた感覚は紛れもない快感で、曖昧模糊としていた香
堂の視界を真っ白に染め上げた。それでも嬌声だけはあげずに、天を仰いでぶるりと大きく震
える。
「叫んでいいと言っているのに」
 呆れたようにアリスがそうつぶやいた。指が引き抜かれる衝撃にまた背を震わせて、香堂は
肺の奥から、大きく吐息をついた。予想外の強襲を乗り切った、安堵の吐息だ。
 香堂は気づかなかった。
 アリスは、その吐息を待っていたのだ。

「――ひぁああぁあああっ!」

 ぐぢゅり、と膣内で響く淫音が、体の中で反響する。一度抜かれたはずの指は、一瞬の油断
に前に回りこみ、今度は疼く秘唇に突き立てられたのだ。
「あら、どうしたんですか、そんな悲鳴をあげて」
「なっ、中、な、なかっ、中に、入っ……あぁあああああっ!」
「何が、入ってるんですか?」
「ろ、ろぉっ、あ、ぁああっ、いやぁああっ!」
 アリスが指を蠢かせると、狭い膣道で震えながら『それ』も身を捩る。そう、アリスの指はストッ
キングごと、その奥のローターまで、香堂の中に押し込んでしまったのだ。
 最大値で震える淫具を埋め込まれた膣は、わななきながら未知の悦楽を吐き出していく。膝
が震えて立っていることすらできない。内側から送り込まれる刺激は、先ほどまでの比ではな
かった。
 がくり、と膝が落ちる。同時にアリスの指が離れていくが、よほど奥までねじ込まれたのか、ロ
ーターは落ちてこない。膣の収縮運動でストッキングだけがゆるゆると吐き出されてきても、肝
心の玩具は唸り声を止めないまま、香堂の中で暴れて回っていた。
「はっ、はぁ、い、いや、やぁああ……」
 両手を床の絨毯について、涙と涎を零しながら、香堂は立ち上がることができないでいた。よ
つんばいの姿勢で腰をひねりながら悶える姿は、どう見ても性を懇願するあさましい雌だ。
 このローターをどうにかしなければいけない。そうしなければ、気が狂ってしまう。香堂は震え
る指を、自身の秘裂にそっと這わせた。布地に浸透した淫蜜に指先がぬめり、なめらかな繊
維の感触がふっくらとした土手を撫でる。這い上がる電流にも似た感覚に背を震わせながら、
香堂は指先を蠢かせる。しかし、ストッキングが邪魔をして秘所に指を触れさせられない。アリ
スがそうしたように、勢いよく突き込めばいいのだろうが、それでローターを取り出せるとは思え
なかった。

310: 女学院復讐SS6 10/12 2009/12/06(日) 17:18:16 ID:nClvIQgC
「い、いう、ん、んんぁあああ……っ」
 片腕を肘までついて、腰を振りながら秘所をまさぐる。これではただの自慰だ。それも校舎の
中で、まだ人がいるというのに。
「あ、ああ、ああああ……っ」
 違う、ただローターを取り出したいだけだ。違う。違う。違うのに、布地ごしに暴れる指を止め
られない。
「あ、ああ、あっ、ああぁ、あっ……ふぁああっ、」
 加減もなく掻き毟っていれば、当然ストッキングは伝線する。どころか、布を引き裂く音と共
に、香堂の指はついにストッキングを破ってしまった。涼やかな風が股を走り抜ける。その瞬間、
確かに香堂はつぶやいていた。
「さわれる、」
 と。
「ふぁっ、ああああっ!」
 何もかも振り切るように突きこんだ指は、剥き出しの淫裂を割り開いて膣口に突き立った。奥
に潜むローターの固い感触が指先にあたる。全身を衝き抜ける快感の波に流されるままに、
香堂はそのまま、指を思い切り深くまで突き刺した。
「んぁああぁあああああ――――っ!」
 視界が白濁する。七色の光が真っ白の世界を飛び交って、香堂の体をどこか知らない場所
に連れ去っていく。今まで感じたことのない、全く知らない類の絶頂だった。
「あぁ、あ、ふぁ……」
 指を抜くことも忘れて、ぐったりと弛緩する。床に頭をつけると、眼鏡が絨毯に触れてわずか
に音をたてた。
「……だ、大丈夫?」
 ――そこで、知らない声が聞こえた。
「……ふぇ……?」
 顔をあげる。知らない女生徒が、心配そうにこちらを見下ろしていた。背後には何人かの生
徒が、気遣わしげに、あるいは気味悪げに香堂を見ている。その更に後ろからは、ざわめきと
共に野次馬の集まる音が聞こえてきた。
「あ……ぇ?」
 振り返る。
 伊勢宮アリスは、どこにもいなかった。
 誰も来ないと言われていた場所は、確かに人通りは少ないがただの廊下の隅で、香堂自身
の悲鳴を聞いてだろう、多くの生徒がざわめきながら集まっていた。多数の視線に晒されなが
ら、香堂はよつんばいのまま、尻を高く掲げて上半身を地面に伏せた恥ずかしい姿勢で、自
分の指を股間に沈ませている。足元の絨毯は捩れて皺だらけになっていて、ここでさんざん悶
えたことを言外に示していた。
「な、なに、してるの……?」
 指の行き先に気がついたのか、声をかけてきた生徒が顔を赤らめてそう言った。一歩退く彼
女に合わせて、ざわめきが波のように伝播していく。
「あ……あ、ああ、ち、ちが、ちがう、違う――あぁああっ」
 あわてて起き上がるその勢いで、膣の中でローターがぐしゃりと押しつぶされる。密着した玩
具は電動式の愛撫を容赦なく香堂の体に刻み付けた。まなじりから涙を零しながら、香堂は
視線を巡らせる。少なくとも、この玩具の電波が届く範囲にはアリスがいるはずだ。
「う、うぅう……」
 羞恥心だけを頼りに、香堂はふらふらと立ち上がった。一歩進むと、人垣がざわりと割れる。
二歩進むと、誰かが香堂の足元を見て、
「なに、なんか垂れてる」

311: 女学院復讐SS6 11/12 2009/12/06(日) 17:20:59 ID:nClvIQgC
 と、そうつぶやいた。
「なにあれ、おもらし?」
「違いますよ、あれ、……その、あれじゃないですか」
「嘘、あの子、こんなところで何やってるの?」
「変態なんじゃないの」
 ぼそぼそとした囁きが一斉に沸き立つ。中には香堂を弁護するものもあったが、とても耳に
入れている余裕なんてなかった。ローターは休まず動き続け、絶頂に達して敏感になった香
堂の性感を刺激している。どこかに隠れているだろうアリスは、笑っているのだろうか。
「うう、う、うぁああ……」
 呻きながら、香堂はふらふらと廊下を、逃げるように歩いていった。ざわめきは収まらないが、
誰も追ってこない。ただ気味悪そうに、遠巻きに香堂を見つめているだけだ。
 助けてくれる人などいない。
 香堂はそのまま、人の目から隠れるように角を曲がると、一番近いトイレに駆け込んだ。気が
つけば、ローターの動きは止まっている。アリスから離れたのだろう。
「う、う、うぅ、うぁあ……」
 汗が浮き上がった手を個室の扉にかける。それを開くと同時に、
「傑作でしたよ」
 ……この数十分でいやというほど聞いた、澄んだ声が響いた。振り返れば、かすかな笑みを
浮かべて、伊勢宮アリスがトイレの入り口に立っている。
「香堂さん、きっとマゾの素質があるんですね。かわいかったです」
「い、いせ、みや……」
「さあ、それじゃあ」
 すたすたと歩いてくるアリスの腕が、香堂の肩をトイレの中に押し込んだ。同時に、また膣の
中でローターが蠢動を開始する。後ろ手にアリスが鍵を閉める音が、いやに大きく響いた。
「遊びましょう?」
 微笑は美しかった。
 まるで、悪魔のように。
■■■
 映像が終わった。
 液晶を見つめたまま、文月は小さく、しかし深い吐息を漏らした。最後にノイズになった画面
からは、悲鳴も嬌声も、もう聞こえてはこない。
「よくもまあ、大胆にやったものね」
 あれほどの人数に目撃されては、口封じなど不可能だろう。いや……文月が知らなかったの
だから、ある程度はそれも成功しているのかもしれない。野次馬の生徒全員がアリスの協力者
という可能性もあったが、さすがにそれは考えすぎだろう。
 だが、中に二、三人のサクラがいたかもしれない。
「そう……そうか……」
 伊勢宮アリスという人間を計り違えていたのかと、文月は沈思する。彼女は戦える人間では
ないと思っていた。ただ虐げられ、搾取されつづける家畜のような、餌になるべき人間だと認
識していたのだ。
 彼女は変わったのだろうか。それとも、最初から文月が間違っていたのだろうか。
「……」
 文月は沈黙したまま、指先をタッチパッドに滑らせた。マウスカーソルをふたつめのファイル
に合わせ、ダブルクリック。
 同じように再生ソフトが立ち上がるが、映像は流れなかった。シークエンスバーだけが横に伸
びている。どうやら音声のみのファイルらしい。
 数秒の雑音の後、澄んだ美しい声が、さえずるように流れ出した。

312: 女学院復讐SS6 12/12 2009/12/06(日) 17:21:39 ID:nClvIQgC
『許しません』
 まず、声はそう告げた。
『貴女がわたくしたちを許さなかったように、わたくしも貴女を許しません』
 文月はかすかに目を細めて、シークエンスバーを見つめる。どうやらほんの十数秒の音声だ。
つまりこれは、宣戦布告なのだ。
『貴女の行為が復讐ならば、これも復讐なのだと――貴女には理解できるはずです』
「わかってないな……」
 ぽつり、と思わず言葉が漏れる。自分ながら『らしくない』反応に、文月は自身の昂奮を悟っ
た。昂ぶっている。それは、知り合いのあられもない映像を見たからではない。
『貴女のいうような人間では、わたくしはない。わたくしは自分で、貴女に復讐できる』
 これが昂ぶらずにいられようか。文月はぶるりと震えて、自身の肩を抱いた。
『これは、わたくしの復讐です……!』
 言葉を最後に、再生が止まった。文月が止めたわけではない。これが収録されている音声
の全てなのだ。文月は震えながら、口元を掌で押さえて、
「くっ……あはははははっ……」
 いつかのように、笑い出した。
「そう、そうなのね、貴女、私と戦争をしようというのね……!」
 ぶるりと、また大きく震える。
 早鐘のように打つ心臓が、脊椎を駆け上る快感の予兆が、文月の興奮を押し上げる。一度
は終わったはずの楽しい遊びの時間。鎖から解放された獣が雄たけびをあげる狩りの時間。
刹那の慰めだったはずのそれを、獲物の方から望んできたのだ。
 昂ぶらずにいられようか。
 これを、喜ばずにいられようか。
「ああ、そう、そう! それならばやりましょう。見逃すなんて失礼な事を言ったわね――」
 興奮のあまり手を打ち合わせて、文月はつとめて声を抑えながら、うっすらと笑みを浮かべて
宣戦した。
「――潰してあげるわ、貴女も!」
 
 伊勢宮アリスの復讐は、こうしてはじまった。

314: 名無しさん@ピンキー 2009/12/06(日) 23:08:08 ID:P+k2UkaR
うわああああおかえりいいいいいいい
待ってたGJ

抜いてくる。

318: 名無しさん@ピンキー 2009/12/07(月) 07:39:36 ID:P/5N4iuH
きたああああああああああ!!!!!
待ってたぜえええええええええええええええ!!!!!!

しかし、なんだ
文月とアリスじゃ器が違いすぎやしないかという気もしなくもないがw
アリスがどんだけがんばるのかが楽しみだ

321: 名無しさん@ピンキー 2009/12/07(月) 20:38:13 ID:XHqNBKb1
>>318
文月は残酷であるだけでなく非情さも相当なもんだからねぇ
アリスなりに色々策を練るだろうが返り討ちにされて自殺ものの恥辱を受けそう

324: 名無しさん@ピンキー 2009/12/07(月) 23:10:20 ID:qa58CpUl
おお、ついに続きが!

328: 名無しさん@ピンキー 2009/12/09(水) 14:33:49 ID:c8t9z1K3
初めてこのスレを開いたけど
ふおおおぉぉぉぉっ!!!

329: 名無しさん@ピンキー 2009/12/09(水) 15:42:30 ID:q9VSR6oY
いつのまにかきてたあああああああああああああああ
アリスいい!敬語責めかわいい!

330: 名無しさん@ピンキー 2009/12/09(水) 15:52:06 ID:tBRoJvtt
相変わらずのクオリティ、GJ!待った甲斐があった。

333: 名無しさん@ピンキー 2009/12/10(木) 23:19:42 ID:sSLm+HTC
アリスかわいいな
いじめる側もいじめられる側も見てみたい

Viewing all 217 articles
Browse latest View live